9月末にご契約いただいた2台の308がやっと今週末に納車することになった。
通常は2ケ月ほどで納められるのだが今回は予備検査にも時間がかかり、
納車までになんと3ケ月もかかった。
整備内容を写真をそえて新しいオーナーの方にお送りし、
ご理解をいたくようにお願いはしたが、さすがに3ケ月は長い。
しかし、適当に整備して、悪いところは目をつぶって納車することは
したくないので待っていただくしかないのです。
特にGTSを購入いただいた方からはここまで整備をしてくれるとは思わなかったので
時間をかけて下さいとまで言っていただいた。
すべて信頼してお待ちいただいたお客様には本当に感謝です。
すべての車は現地で試乗してから輸入するが、
エンジンルーム内のウォーターホースやガソリンのホース、ブレーキホースなどの
いたみは車をリフトしてみなければわからない。
もっともわかりやすいのはエンジンフードを開けて見える
リヤクォーターのガソリンキャップからタンクまでのホース。
ギュッとつかんでみるとほとんどの車のものはヒビわれているので交換する。
車をリフトして次に見るのは左右のガソリンタンクをつなぐホース。
これも車によっては硬化して、左右のクランプのセンターが膨らんでいるものがある。
上の写真が交換前、下のものが交換後のもの。
タイヤのインナーフェンダーをはずしてわかるのがミッションケースの上のウォーターホース。
写真は交換後のもの。
アンダーカバーを外してフロントのラジエターの回りのホースも点検する。
古い車なのでパワーウインドウが手をそえないと上がらない車もある。
そんな車は新しいモーターに交換したり、ワイヤーを交換してから納車する。
上の写真は右パワーウインドウモーター交換とサイドブレーキ修理のためセンターコンソールを
外している308。
もちろんウォーターリザーブタンクの圧力テストやそのキャップのテストも行なう。
キャップが不良だとオーバーヒートに直結するからだ。
上記のパーツは漏れているものはすべて交換。
漏れはないが痛んでいる場合はお客さんと相談の上整備を行なう。
ベルト類も交換時期が来ているものや現地で交換したと聞いても
記録のないものは交換してから納車する。
万一ベルトが切れ、またはコマとびするとエンジンを壊すこととなり、
数百万の出費が考えられるからだ。
これらの費用は全て弊社が負担するのでご安心を。
前後左右のブレーキホースも必ず確認する。
30年前の車なのでヨーロッパにある時にも交換はしているはずだが、
これもゴム製のため硬化が激しい。
漏れている場合やヒビが入っている場合はもちろん交換する。
たとえ問題がなくともオーナーに相談すると
費用は負担するので交換して欲しいとお願いされることがほとんど。
ウォーターホースやガソリンのホースを交換する場合はすべての水やガソリンは
抜き取る。抜いた水はもちろんガソリンも腐っていることがめずらしくない。
現場を見れば例えホースが問題なくともオーナーは交換したくなるほど。
これらの交換パーツは実際に作業をしてみないとわからない上に日本に
在庫がないものが多い。
ないものは本国から取り寄せる。
場合によっては発注した後で追加のパーツか必要になるとか、
世界中のショップの在庫を確認しなくてはならない時もあるので
どうしても時間がかかってしまう。
これらの整備はフェラーリの正規ディーラーであるコーンズ東京サービスセンターで行なう。
なかなか町工場ではここまでしっかりみてもらうことは難しいのが現実。
他の工場より費用が高いという方もいらっしゃいますが、彼らの作業や清潔な工場を
見ると決して一概に高いとは言い切れません。
さらに弊社ではコーンズのフロントを通してChange of Ownership マーケティングカードに
日本での新しいオーナーの名前、住所等を記入し、Ferrari本社に登録してもらう。
オーナーにとっては自分の名前がマラネロの本社に登録されるというだけで
うれしいサービスに違いない。
ちなみに万一入庫した車両が盗難車の場合は正規ディーラーからは
パーツの供給はいっさいしてもらえないのでご注意を。
上記整備の他に予備検査、ヨーロッパのナンバープレートの穴埋めの板金塗装、
塗装の補修、登録、ETCの取り付け、要望があればタイヤ交換、ボディと内装のクリーニングなどが加わる。
こうしてすべての点検を終え、ヨーロッパから輸入した308は初めての日本の新しいオーナーが
そのステアリングを握ることになるのです。
昨日コーンズのメカニックと話す機会があったので308の印象を聞いてみた。
異口同音に全ての人が328より確実に速く感じるという。
やはり初期型のキャブの308は本当に素晴らしい。