来月山中湖に納車になる82年アルファロメオ1600スパイダーベローチェのキャブ調整を含む整備が終了し、最終チェックのために土曜に首都高に持ち出した。東京は今年で最も春らしい日。
春の日差しをあびてのフルオープンでのドライビングはそれだけで心が弾む。
左肘を窓を降ろした運転席のドアにかけてのドライビングはクラシックならでは。
現代の車は安全基準の変更によりドアは肩がすっかりかくれるまで高くなってしまったからだ。
この緩い感じのドライビングポジションが都内やリゾート地を運転するには実に心地いい。
レイパーカーJrやEagles などの80年代の曲の入ったカセットテープをこの車のラジオにセットすれば当時にワープするようだ。
乗り降りは普通のセダンに乗るのと同じくらい簡単だし、コックピットスペースも充分に広い。
この1600スパイダーの後部座席には小さなボストンバッグなら2個置けるほどのスペースもある。
さらにリヤにはキャディバッグを2個つめるほどの大容量のトランクさえ備えている。
アルファ伝統のツインカム4気筒のエンジンは高速に入ると俄然本来のスポーツカーとしての本領を発揮する。
乾いたアルファサウンドは風の音をかきわけてドライバーを刺激する。
3速や4速で回る高速コーナーはフェラーリ308ほどのソリッドさこそないが、初期型の1300スパイダーのボートを操縦しているようなふわふわとした感覚はなく、スポーツカーそのもの。
基本的にアンダーステアのハンドリングはアクセルでノーズをコントロールすることさえ出来るほど安定している。
4輪ディスクブレーキの効きも実に信頼性があり、安心して飛ばせる大きな一因。
古いオープンカー特有のコーナーでボディがねじれ、ダッシュボードがミシミシ軋むようなこともない。
軽くトップエンドまで吹け上がるエンジンはこれぞアルファ!! と叫びたくなるほど気持ちいい。
ドライバーの正面左右のメッキ枠のスピードメーターとタコメーターは視認性も良く、今の液晶で数字が浮き出るものとは一線をきす、かっこよさだ。
ガソリンメーター、水温計、油温計などの小さなメーターがドライバーシート側にオフセトされているのもドライバーをその気にさせる。
ウッドのステアリングや斜めにつきでたシフトノブもこの美しいスパイダーをより魅力的にしている。
フロントマスクはDino246を髣髴とさせる可愛らしさ。
サイドのボディラインはピニンファリーナらしい美しさとエレガントさだ。
このスパイダーはイタリアの資産家お二人に乗り継がれて来た。当時は日本では伊藤忠オートが輸入元で国内には右ハンドルの2000CCのみが輸入された。この1600スパイダーはその意味でも貴重な1台といえる。
日本でのこの車の3人目となるオーナーにも34年間過ごしてきたイタリアと同じように美しい景色と素敵な思い出を数多くもたらしてくれることだろう。
個人的に今、オープンカーで何が欲しいと聞かれたなら、アルファスパイダーと即答する。
それほどイタリアからやってきたこのアルファとのランデブーは胸が震えるほど感動的だった。
出来る事ならこのキーは自宅においておきたい。
Viva Alfa !!
平成26年3月29日
桜の咲く頃に。