先週の金曜に港から持ち帰ったFiat Dino を首都高でテストした。
Dino Coupe の総生産台数は6043台。そのうちマラネロのフェラーリ工場で作られた2.4Lのものは2414台。246と同じZFギヤボックスとガーリングのブレーキを備えるこのクーペを日本で運転するのは初めて。
アイドリング時にシートから伝わるV6ユニットの軽いバイブレーションはフロントエンジンのフェラーリに似ている。2.4リッターのDino エンジンのトルクはすごく、どこから踏んでも力強く加速して、いっきのレッドゾーンまでよどみなく回る。
その音はフィアットというより、フェラーリそのもので、12気筒のディトナを運転しているようだ。特に3000回転を境に音量、音質とも劇的に変化する。
目を閉じればそれはまさにフェラーリミュージックそのもの。
246と同じガーリングブレーキの効きは素晴らしく、ディトナのようなプアーさはいっさい感じない。
一度でも70年代のフロント12気筒フェラーリを運転したことのある人なら、このサウンドの類似性はご理解いただけるはず。
かつて運転したクラシックフェラーリの212インターより、格段にトルクフルで澄んだサウンドのフェラーリ社製V6ユニットの素晴らしさは、スポーツカー好きにとってはアクセルを踏むたびに鳥肌がたつほど官能的だ。
イタリアで初めて運転した時の興奮がそのままよみがえってくる。
布製のシートの座り心地は抜群で、左右のウエスト回りを軽くホールドする感じはバケットシートに近い。
このまま何百キロも走っても疲れることはないだろう。
リヤシートの居住性の良さも特筆に価する。
リヤフェンダーのふくらみやフェンダーアーチの美しさもこの車をさらに魅力的にしている。
リヤのクオーターウインドウがリヤピラー部分を支点に斜め下に少しだけ開くのも面白い。
そこから入った風はクオーターの通気口からアルピーヌのようなリヤクオーターのスリットに抜ける。
今や同じエンジンを積んだ246やストラトスが4000万円を超えるプライスがつく中、1000万円以下で手に入れることのできるFiat Dino はバーゲンプライスにちがいない。