1986年から生産された328の形をした2代目のターボは328を買えない人のための廉価版だったのだろうか?
初めて私が輸入した頃はまだ日本には試乗記はもちろん、情報はほとんどなく、ネットで修理をしたという工場に連絡しても整備でフルに回していないのでそのポテンシャルは不明のまま。初めてイタリアで乗った時の印象はミニF40と呼ぶにふさわしい素晴らしいエンジンで、迷わず購入したのを思いだす。
それは決して328を買えない人の328ではなく、まったく別の次元のクルマでした。あのターボが効いた時の加速は328を凌ぐ勢いで、運転していて楽しいことこの上ない。実際ターボが効いてくるのが3500rpm。あの40と同じプシュというウエストゲートが開く音、そしてターボの強烈な加速は40を彷彿とさせます。エンジンのアイドリングのサウンドも乾いたあのF40 に似ています。

それもそのはずで設計したのはF40のエンジンを作った二コラマテラッツィ氏本人。

上の写真のピローニの右にいてマシンを見ているのがマテラッツィ氏。
マテラッツィ氏はもともとF1のエンジンの開発のためフェラーリに招かれ、1981年V6ターボエンジンでビルヌーブはモナコ、スペインの両GPを制覇。82年にはコンストラクターチャンピオンに輝くのです。82年にエンツォの指示によりマテラッツィ氏は驚くほど売り上げが落ちたロードカー部門のテコ入れのためにF1から撤退します。

最初に手掛けてのが1984年に発表された288GTOでした。次に手掛けたのがターボの2リットルエンジンの見直しと開発でした。そうして誕生したのがこのGTB/Sターボなのです。彼の偉業は288GTOとF40 という2つの偉大なクルマに代表され、このターボの存在をいまだに知る人は少ないですが、

一度コンディションのよいGTB/Sターボを乗れば即座に理解できるはずです。

しかも嬉しいことに他の2台の天文学的な価格に比べればまだ手が届く価格で手に入れることができるのです。
328の270馬力に対しターボは254馬力と16馬力ほど劣りますが、実際の加速性能を表す最大トルクは328の31kg/5500rpmに対し33.5kg/4100rpmと優っています。しかも低回転で最大トルクが出ているということは下から力があるということで、実際に乗ってみると3500回転でターボが効き始め、4100回転でトルクがマックスになるというのが理解できます。あの元F1ドライバーのミケーレアルボレートは328よりも高い評価をしています。まさに私も同感で、当時のフェラーリのF1全盛期を彷彿とさせる加速です。
メーカーの公表しているデータでも0-100km/hでは6.3秒と328の6.4秒をわずかに上回っています。

今回輸入したGTSターボの総生産台数は828台。トップをはずして聞くあの40のようなサウンドと強烈な加速Gは今は亡き二コラマテラッツィ氏へのオマージュなのです。