1976年の年間生産台数は1426台だった企業は2022年には13221台と巨大企業となりました。
南イタリア出身のVigna 氏は大学では物理学を専攻、半導体メーカーからやってきた優秀な人物。
ferrari ならではのEV化を推進していく意気込みを語っています。
今後のEV化はどの自動車メーカーも避けられないでしょう。
環境問題にも配慮し、サステナビリティも企業として重点をおいているとも。
まるでトヨタや日産のCEOのインタビューのような印象をうけます。

電気自動の草分けは何といってもテスラ。これほどまでに販売台数をのばすとは当時は思いもよりませんでした。
今ではどこに行っても見るようになりました。
決して美しいとは言えないデザインですがクルマを移動の手段としてのみ考えたならいいクルマだと思います。
実際私のお客様で所有している方がおり、あの自動運転の素晴らしさは予想以上とのこと。
しかし趣味としてもつなら私はテスラを選ぶことはないでしょう。
EV化はエンジンだけにはとどまりません。タッチセンサーによるエンジンの始動やドアの開閉、新しいフェラーリのスイッチ類はすべてタッチ方式です。その機能を使いこなすには分厚いマニュアルを熟読しなければなりません。
i phone と同じで私にはすべての機能は到底使いこなせないでしょう。296のシートヒーターさえもそこにたどり着くまでスワイプしてオン、オフするのに手間取ったほどです。
さらにモダンフェラーリはどのモデルも充電プラグを差し込んでおかなければ10日ほどでバッテリーは上がり、エンジンはかからなくなります。
今やすべてのフェラーリはパドルシフトとなり、あの伝統的なシフトゲージは今や過去のものとなりました。
今後ますます電動化がすすみ、他社のようにメーターパネルはi pad のように巨大になっていくのでしょう。

レースに実際に参加し、そしてレースをするために会社を興したエンツォフェラーリの時代のクルマは美しく、彼のレーシングスピリットが溢れています。物理学者がつくっていく未来のフェラーリとは違うベクトルをもっていました。

あのステアリングを切った時にタイヤのグリップを感じながらまがるコーナリング、5速全開で抜けるハイスピードコーナーでテールがヌルヌルすべるあの感覚、サーキットでしか経験できないような体験をしてきたエンツォと今の社長のつくるクルマとは当然異なってきます。フェラーリは新しくなっても感動をあたえるクルマであることは今も昔も変わらないでしょう。
Benedetto 氏はこう言っています。
フェラーリから降りた人は愉快になっているか、汗だくになっているかのどちらかです。フェラーリの操縦にはある種の緊張やストレスが伴いますからね。落ち着いて運転すれば、快楽がそれに優るので、運転し終わった後には笑顔になれるでしょう。
すくなくとも今のフェラーリを公道で運転する限り、汗だくになることはないはずです。296、ローマ、ドディチチリンドリ、どれも免許とりたての女性でも運転することはできます。しかし80年代以前のF40や288、308に代表されるクラシックフェラーリは初めて運転する時はかなりの緊張感が伴います。

馴れないうちはミスシフトをしないように区切られたシフトゲージを見ながらシフトせざるをえなかったり、

極端にオフセットしたアクセルとブレーキのペダルの位置を確認したりとそれこそ慣れるまでは運転し終わった後はぐったりします。今から37年前に初めて運転した時のことを思い出します。

しかしゲージに吸い込まれるようにシフトアップができるようになり、ヒールアンドトウでシフトダウンができるようになると運転すること自体が楽しくなってくるのです。アクセルを全開にできるようになればあのキーンという金属音のようなサウンドと独特なエキゾーストノートの包まれ、ドライバーはフェラーリを運転しているという快楽にひたれるのです。フェラーリは憧れのクルマ。落ち着いて運転することなどできるはずがないのです。
Venedetto 氏が作っていく新しいフェラーリは違った意味で魅力的なクルマになることは間違いないでしょう。それこそがフェラーリの生き残っていく道なのかもしれません。

しかし私は伝統的なあのシフトゲートのある、カロッツェリアの作った美しいクラシックフェラーリが好きなのです。
この魅力を今年も一人でも多くの方にお伝えしていきたいと思います。
2025年賀正