ブレーキングで左に流れるトラブル

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今年パドバから譲り受けたDino308gt4 の点検整備時に左ブレーキのピストンが、錆で固着していたため作動せずに、オーバーホールを実施。
その後のテストドライブでブレーキを踏むとクルマが左にながれる。
ステアリングギヤボックスを点検してもガタなどもなく異常なし。フロントのブレーキホースを交換して少しは症状がよくなるがまだ左にいくのでアライメントを調整。もちろん反対側のキャリパーのピストンの作動も確認。ブレーキを踏むと問題なくタイヤの回転も止まる。
正規のアライメントにしても症状は変わらない。ブレーキング時のローターの温度を計測すると左が110度に対し、右が80度しかないことがわかりました。原因は右のキャリパー内のオイルラインのつまり。左に比べオイルラインがつまっていたため同じ踏力で踏んでもオイルの圧が左右均等にかかっておらずブレーキパッドを押す力が同じでなかったためでした。
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静止時にブレーキを踏んでキャリパー内のピストンが動いていることを確認しただけではわからなかったのです。
キャリパーを分解してオイルラインにパーツクリーナをかけクリーニングすると白く固まったオイルの塊がポロっとでてきました。これで120キロくらいからのブレーキングでもまっすぐとまるようになりました。リアのブレーキホースを変えたり、右のロアアームを交換したり、ひとつずつ試しながらの作業でした。

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先日モナコヒストリックでニキラウダがドライブした1976年のF1、312B3 をルクレールがラスカスでクラッシュさせた原因もブレーキトラブルによるスピン。今回はモナコでの片側のブレーキパッドが割れてしまうようなトラブルではありませんが、安心して乗るためにはまっすぐ止まるというのは大事なファクターなのです。納車前の最終テストはいつも私が行います。問題があれば時間がかかってもすべて解決してから納めるように心がけています。
今まではこのような症状はほとんどがステアリングギヤボックスのトラブルでしたがこれからはキャリパーのブレーキラインの確認もすることにします。
ご契約いただきましたY様、3週間も納車が遅れたたにもかかわらず、ご理解いただき、何もおっしゃらずにお待ちいただきありがとうございました。

  by cavallino-cars | 2022-05-24 16:48 | Comments(0)

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