small Ferrari の造形の変化
下の写真は以前の私の愛車だった246gt。
バンパーは左右2分割のメッキのものが前後に装着。
ミッドシップではあるがリアにはトランクスペースも備える。
エンジンフードとトランクフードは別々に開く。
ピニンファリーナの独特な曲線をえがくその美しさは今でもファンを魅了する。
なるべくオープナーを目立たせない工夫がされている。
前後につらぬかれるフロントからリアまでのセンターのラインが前後フェンダーの
抑揚あるラインと美しいコントラストをなしている。
ラインがある。この直線的なラインがフェンダーの美しさをさらに強調している。
ドアミラーからリアクォーターウインドウまで続くラインは
下に緩やかな曲線をえがく。
リヤクオーターウインドウにはガソリンキャップを隠す三角形の
小さなルーバーが左右に装着。
こんなところにもボディの美しいラインをガソリンキャップでくずした
くないというデザイナーのこだわりを感じざるをえない。
前後バンパーはDinoの2分割のメッキタイプから1本型のファイバー製のものに
変更された。この曲線と直線のコントラストこそこの車をより美しく見せている。
ダクトが新設。
左右のフェンダーの冷却ダクトは2.4リッターから3リッターに大型化した
エンジンの冷却効率を高めるためにより径の大きなものになった。
リアのエンジンフードには熱抜きのためのルーバーがつくようになる。
このフィン型の下には木の葉などが入らないよう網がはられている。
斜めに取り付けられたバーはデザイン的に美しいばかりでなく
熱が後ろにぬけるように設計されている。
開けるのではなく、エンジンフードを持ち上げ、手前のファスナーをひらいて
アクセスする。
せり上がったエンジンフードの角度にあうように1枚1枚カットされている。
フロントからリアまでコの字にへこまされたラインの奥は黒く塗られ、
Dinoよりも曲線と直線のラインのコントラストをよりはっきりさせている。
フロントタイヤ前につくウインカーライトにはメッキのリングがつく。
308の美しいボディラインを崩さないようにドアウインドウの縦のフレーム
にそって形成された。
ちなみにこの話はこの車をデザインしたフィオラバンティ氏本人から
マラネロでお聞きしたものです。
も内蔵されていた。
スチールボディになってからはリヤの左右のシグナルライト中央にライトは
移設された。
さらにラジエターの熱抜きのダクトがフロントボンネットにも追加される。
長方形のものに変更。
フロントのボンネットから前方に向かうラインはバンパーの面で角度を変えて
下をむく。
そのラインは上の写真のようにサイドにまわりこみ、
ウインカーの位置にまで伸びて処理されている。
これは初期の308から変わらない。
このラインはなくなってしまった。
6枚上の赤のGTBの写真でも同じラインが確認できる。
ホィールは14インチから16インチにインチアップされ形状も少し変更された。
基本デザインは変わらないが細かい変更が施される。
ドアハンドルはドアのダクト上に移される。
初期型はドア本体をへこまされてつけられていたが、後期になるとドアに穴が
開けられ、ハンドルの枠にラバーパッキンがつくようになる。
QVまでのドアハンドルと比べると美しいラインがくずされていることは明らか。
ラジエターグリルをカットして左右にアッセンブリーとして組み込まれる
ようになった。
ヘッドライト上のラジエターの熱抜きのダクトは廃止され、ボンネットのみに。
ものが北米仕様と同じコの字型に変更された。
フロントフェンダーにつくウインカーライトはタイヤハウスの
前から後ろに移設され、メッキリングのつかないプラスティク製のものに
変更。
ドアノブがダクト上の位置になったことにより美しいラインがくずれているのが
この角度からだとよくわかります。
308のドアからリアフェンダーに続く246から続く美しいエアダクトは
なくなり、ドア下に移設された。
328まであったドアウインドウのフレームもなくなる。
さらにフロントからリアまで続く横一直線のサイドのラインは残るものの、
308のように故意にへこまされたラインではなく、
ボディパネルの接合部分としてわずかに残るのが確認できる。
フロントのグリルはフェラーリ伝統のアルミ製からプラスティック製に変更。
ラジエターがリアに移設されたことによりダミーのグリルとなり、
ボンネットにも熱抜きのためのルーバーはなくなります。
フロント左下のダクトはブレーキ冷却用。
リヤクオーターウインドウに隠されていたガソリンキャップのふたはフェンダー
につけられた。
上だけが開くタイプに。
エンジンフードの冷却用のバーは縦置きになったエンジンの真上ではなく、
後方に取り付けられ、マフラーの熱抜きダクトも兼ねるようになる。
おそらく後に頻発したセンサー異常によるトラブルはこのフードの熱抜きが
十分でなかったためかもしれない。
リヤにあったトランクも348からは存在しない。
前後バンパーはアンダーパネルと同化。
このモデル以降は直線的なバンパーのラインはなくなってしまう。
つめの長い女性には少々開けずらかったにちがいない。
伝統の4つのテールライトは姿を消し、横長のもののアッセンブリーが装着。
表面にルーバーが施される。
トランクは今まではスペアタイヤを入れていたフロントボンネット下の
スペースにトラベルバッグが2つほどはいる縦長ものがつく。
ドアハンドルはダクトの内側の上部に移設され、ラインもくずすことなく
開けやすくなった。
フロントからリアまで続くセンターのラインはボディパネルの接合部分を
つなぐことで308のスタイルを継承している。
しかしこのラインも360モデナからはなくなってしまう。
丸くなったバンパーに組み込まれた。
その下にネットがはられた簡素なものに。
テールライトは初期の4灯式に戻る。このころからプラスティック的な質感が
さらに増してくる。
なくなり、
向かった1本のラインとなる。
リアフェンダーからドアまで続く美しい曲線のラインはさらに大きくなったダクトにより
きられてしまった。
左右のフェンダーのダクトから流入するエアはリアのメッシュパネルから
排出されエンジンルームとマフラーの熱抜きを図る。
そのためテールライトは上部に移設された。
リアフェンダーパネルにへこみを作り、処理。
ドアパネルだけで作るよりもはるかにコストはかからない。
見比べると溶けたプラスティックの塊のようにも見えてしまう。
430まではあった美しい前後に通る1本のラインは面影さえ
なくなってしまった。
やテールライトの処理には以前の美しさは感じられない。
変わってしまった。押すとへこむような軽いパーツはレーシングカーのそれに
近いがはたしてロードカーに求められているのかは少し考えてしまう。
てしまうとどうしても陳腐にみえてしまうのです。
フェンダーに開けられた給油口のフラップやボディのラインをだいなしに
してしまう飛び出したドアノブなども同様です。
フェラーリの年々コストを削るために行われた変更が初期モデルから
現行モデルまでの変化を見比べてみるとよくわかります。
ハンドルはドアパネル面から飛び出し、そこにはボディラインを
くずさないようにしようとするこだわりはみられない。
デザインの美しさへのこだわりがなくなりつつあるように思う。
その性能に多くのお金をかけすぎ、美しさへの投資がされていないように
も感じます。
現にデザインはピニンファリーナから自社で行うようになりました。
思えないポテンシャルにあります。
とオーラがありました。大きさも一回り以上小さいのもいい。
もちろん加速性能やブレーキングではモダンフェラーリとは
比べようもありませんが、運転していて思わず叫んでしまいたくなるような
感動と今見ても色褪せない当時のデザイナーのこだわり凝縮された美しさが
gt4や308にはあるのです。
by cavallino-cars | 2020-05-21 15:30 | Comments(2)
でも最新モデルとの安易な比較に違和感を感じました。
月並みですが、Dinoから始まるスモールフェラーリとして語れる系譜というのは、せいぜい328までだと思います。
同一メーカーの、同じ立ち位置のクルマという点でDinoと458などを比べるのは興味深いですが、それらのクルマが造られた時代背景やテクノロジーがあまりに違うので、その2台になにか共通点や一貫したポリシーのようなものを見出すのは、こじつけや思い入れからの拡大解釈を除いて難しいと思います。同じ人が設計したわけでもなく、色々な意味で別のものなので、どちらが良いかもナンセンスです。
現行モデルの開発者は、308が新車だった頃、生まれていなかったかも知れません。そう考えると、2車が互いにかなり遠い存在に思えます。
308が造られていた頃、308のようなクルマが放っていたステータス性の高さというのは、いまの時代のV8とは異質のものです。良い例えが出ませんが、映画とか歌謡曲がとくに際立っていた時代の作品や唄に思いを馳せるとか、そういう感覚ですよね。
そういう部分も含めて、いつもおっしゃる通り、魅力なんだと思います。
私がいいたかったのは美しさへのこだわりです。
458のフェンダーの真ん中につく丸い給油口のフラップと
フェンダーラインをくずさずに308のリアクォーターウインドウ後方のルーバーのフラップに隠された給油口とどちらがよいかということです。時代は変わってもデザイナーの、そしてメーカーの美しいものを作ろうとする姿勢は変わらないはずです。