このアルファロメオはローマから1時間ほど東の町、ANCONAから譲り受けた。

40年以上前に作られたこのスパイダーのボディの美しいラインやメッキのコントラストの素晴らしさ、

コックピットのこれぞスポーツカーというスピードメータや、

ドライバーの方向にむいたメッキの水温計などの計器類など今みてもうっとりするほどだ。

スイッチに彫り込まれたファンスイッチの質感も今のステッカーをはっただけのものにくらべ、各段にいい。

見比べると一目瞭然で、ほんの少しの違いではありますがこの美的感覚こそがイタリア車の真骨頂なのだと思います。

この車のイタリア人のオーナーは築数百年の家をリフォームしながら暮らしている。

前にフェラーリを購入した時は家の場所は教えてくれず、最初は近くのカフェに来るように言われた。

その後は心を開いてくれたようで、訪れるたびにランチをご馳走してくれるようになった。


奥さんの手作りの料理と同じくらい、食器や彼らの自宅の美しさは素晴らしい。
テーブルには銀食器がならび、

家具は数百年前の木製のものがなにげなく置かれている。

これは食後のグラッパ。
グラスとトレイは磨きこまれた銀製のもの。

そんな彼らの美しさに対するこだわりは車にも共通している。
ガレージにあるのは70年代の車のみ。
一度だけオーナーにモダンフェラーリには興味がないですかとお聞きしたら、たしかに速くて素晴らしい車ではあるが、
マネキンをみているようで、本当に美しい女性に会った時のようなドキドキする気持ちにはなれないのだとう。

美しさを見てきた人達にしかわからない、

手作りのみの持つ素晴らしさがこのアルファにもある。

今、ショールームにあるのはそんなアルファロメオなのです。