生き物のように変化するキャブレターのエンジン

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整備に入庫した308やgt4 のエンジンは、キャブ調整を終えるとピックアップがまるで別の車のように軽くなる。

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納車時には完璧な状態でお渡ししてはいるが、点検に入庫してきたクルマはプラグがかぶっていたり、点火時期がくるっていたり、エンジンがどこか重く、サウンドもこもった状態で入庫してくるものが多い。

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それらの車をあのフォーンといういっきに回るエンジンに調整し、最後のロードテストをするたびにいつも思うことはキャブの308やgt4の素晴らしさです。

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キャブのクルマはその調整によってまったく違う加速をし、何とも麗しいエンジン音を奏でます。
まるで生き物のように変化するのです。


私が輸入したすべてのgt4や308GTB,GTSはどれもイタリアやベルギー、ドイツなどから厳選して輸入したものばかりです。

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よどみなく回るエンジンの素晴らしさ、美しいボディ、わくわくするコックピット。
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最初にスコットランドで初めてgt4を運転した時の感動は10年たった今でも変わりません。


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以前ブログでもご紹介しましたが、冷間時にエンジンを始動する時にはアクセルは踏み込まず、肩をたたくようにポンポンとアクセルペダルを数センチパタパタするだけ。

セルを回しっぱなしでバン、バンと初爆があっても完全にエンジンがかかるまではセルをまわし続けてエンジンが掛かった状態でアクセルを踏んで始動させます。

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その後は回転数を2000回転まであげ、燃焼室の温度がガソリンが気化するまで熱くなるまで暖機運転をします。
アクセルを急に踏んだり離したりするレーシングはNGです。

アクセルペダルから足を離してのアイドリングは安定していても水温が70度まで上がるまでは避けたほうがいいでしょう。
これがプラグをかぶらせない方法。

あとは始動してすぐは、できるだけ渋滞はさけ、水温、油温があがってきたらエンジンを5000回転くらいまで回してあげることです。

このようなエンジン始動方法はオーナーにしかわからない儀式のようなものですが、自分だけの1台としてはこんなことも楽しく感じます。

古い車だから出来るだけエンジンの回転はおさえて、コーナーはゆっくり、加速はアクセルをゆっくり開けて走ることが大事にすると考えているのなら、それは間違いです。

スポーツカーである308やgt4はアクセルを全開にして初めてそのよさがわかるからです。
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あのいっきに吹け上がるエンジン、独特なフェラーリサウンド、路面状況を的確に伝えてくるステアリングホィール、
コーナリングでのアクセルコントロールでノーズがすっとインに入るバランスのよさ、それに美しいデザインやインテリアなどスポーツカーに求めるすべてがそこにあります。

一度でも調子のいいGTBやgt4にのれば、そのサウンドや加速感、そしてハンドリングの虜になるはずです。

F1のような加速をする800馬力の812スーパーファーストも素晴らしいですが、私は250馬力の308や190馬力の208gt4の方に魅力を感じます。

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様々なデバイスのついたモダンフェラーリではできない車をコントロールするという楽しさがあります。
それにベルリネッタにはあのピニンファリーナの、そしてgt4にはベルトーネの今のフェラーリにはない美術品のような美しいエクステリアとインテリアが加わるのだからこれ以上のぞむものはなにもありません。
その美しさはモダンフェラーリを凌駕するものがあります。

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小雨降る英国でオーナーが上りコーナーをアクセルコントロールで軽くドリフトさせながら登っていった時のあの感覚。
自分でステアリングをにぎった時の叫びたくなるような衝動は初めてF40 に乗った時以来でした。

10年たった今でもキャブレターの308やgt4を運転するたびに そして眺めるたびに やっぱりいいなぁ と心から思います。

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ヨーロッパには古い物を大切にするという文化があります。
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あの中世に作られた美しい建造物は技術革新や様々なテクノロジーがすすんだ現代でも作ることはできません。

それと同じように職人の手で作られた美しい308やgt4を作ることは今ではもう不可能です。
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エリッククラプトンが512BBに似せて作らせたSP12や
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ランチアストラトスの復刻版、
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アルピーヌなどは当時のものに比べるとどこか安っぽく、デザインの細かいディテールの美しさがありません。

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イタリアの文化遺産ともいえるほど美しく、今乗ってもモダンカーとも引けをとらない運動性能をほこるこれらの車が自宅のガレージにある喜びは格別です。

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レーシングカーのような爆音をひびかせ疾走するモダンスーパースポーツにも魅力は感じますが、やはり終の1台としてはエレガントなクラシックなスポーツカーを選びたい。
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それにふさわしい車としてこれからも素晴らしいコンディションのフェラーリを輸入しようと考えます。

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この感動を一人でも多くの方にお届けしていきたいと思います。

2019年12月



  by cavallino-cars | 2019-12-30 17:33 | Comments(3)

Commented by ぽよ at 2019-12-29 20:23 x
またまたコメント失礼いたします。
美術品のような美しいエクステリア…本当にそうですよね…
ストラトスやA110は子供の頃からの憧れです。
子供がカッコイイと思えるものって本物なんじゃないかな?と大人になった今、思っています。
フェラーリは実は好きではなかったのですが、308やgt4の魅力をこのブログで知りました。
当時のデザイナーは本当に天才だと思います。
どこから見ても美しく格好よく忘れられません。
それを名前だけ使って、うわべだけ何となくなぞって…上層部の指示で逆らえないのかもしれないけど…
長ーくなりそうなのでこれにて失礼いたします。
Commented by 赤いシートカバー at 2019-12-31 00:47 x
今年も一年間お世話になりました!
また蓮実さんが扱う最高な車を購入できるよう、来年も頑張ります。
よいお年をおむかえください!
Commented by cavallino-cars at 2020-01-01 22:46
今のクルマは70年代のものに比べるとのっぺりした感じがして、美しさという点で魅力に欠けますね。
今の若者のクルマ離れが進むのも理解できます。
当時のフェラーリの美しさやサウンドはぐんをぬいていました。
憧れのクルマでした。環八のAUTOROMANにストラトスや308、シルエットを見に行ったのを覚えています。
何時間見ていても飽きないその造形美は今のクルマにはないですね。

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