GT とスポーツカーのどちらを選ぶか

GTはイタリア語のグランツーリズモの略で、長距離のドライブを快適にすることの出来る動力性能と操縦性を持つ車という意味。

余裕あるエンジンパワー、乗り心地のよさ、運転疲労の少なさ、走行安定性などを合わせもつ2シーターまたは2+2のクルマの総称といっていい。

いっぽうスポーツカーとは運転をスポーツととらえ運転そのものを楽しむために作られたクルマのことをいう。
以前は二人乗りのクルマはすべてスポーツカーだと思っていた。

しかしレースを経験し、クルマをコントロールすることを学んだ後はその考えはガラリと変わる。
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512BBやテスタロッサはGT。
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308やDaytona, gt4 はスポーツカーなのです。

その違いは運転すると明白で、BBやテスタロッサのようなGTはコーナーでテールスライドやアクセルコントロールでクルマをコントロールすることは難しく、まっすぐな道をひたすら走るのに適した車。

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いっぽう308やgt4のようなスポーツカーはコーナー手前でフルブレーキング、ノーズダイブのままゆっくりブレーキペダルをもどし、アクセルコントロールでノーズの向きを変え、コーナー出口にきたらフルスロットルでいっきに加速する。
そんな運転ができるのです。

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もちろん今の488や812はまぎれもないスポーツカーではありますが、

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一般道でテールスライドさせたり、ドリフトさせるのは限界速度があまりに高すぎる上、

さらに様々な安全のためのデバイスがついており、サーキットにでももちこまないかぎりクルマをコントロールする楽しさは

味わえない。

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その意味でクルマをコントロールする楽しみ、運転そのものをスポーツとして一般道でも楽しめるクルマは私の中ではF40や355までです。

308やgt4はそんな運転が出来ることに加え、美しい美術品のようなボディがついてきます。

BBの美しさは誰もが認めるところですが、
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後ろに積んだ12気筒のエンジンは搭載位置は高く、

重いためコーナーでのバランスは悪く、一度すべりだしたテールをコントロールするのはプロドライバーでも難しい。

そもそもそういう運転をするような車ではないのです。


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シートのサポート性はスポーツカーというよりソファーのように快適で、そのドライビングはGTそのものです。

クルマをコントロールするということをスポーツとするなら、308やgt4はまさにスポーツカーです。

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208gt4は308に比べ、トルクはありませんが、ギヤはショーターギヤを採用、車重も軽く、カムも異なるため、

キビキビ走り、フルスケールで回せるのも魅力です。

まさにライトウエイト感覚。

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そのハンドリングのクイックさは246に勝るとも劣りません。

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シフトの剛性はむしろ246よりも優れているといえます。

246のようにギヤがヌルッと入る感覚とは異なり、カチッと入るのもいい。

途中シフトノブをおさえていないと2速からぬけてしまう246のようなこともありません。

唯一劣っているとすればその重量だけでしょう。

たしかに246の形は魅力的ではありますが、208gt4の5倍近い額をだして購入する価値があるかは疑問です。

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同じライトウェイトのアルファロメオと比較して決定的に違うのはその秀逸なハンドリングと

アクセルに即座に反応するエンジンでしょう。

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208gt4からアルファに乗り換えるとそのハンドリングの違いは明白です。

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アルファロメオのハンドリングはスポーツカーとよぶにふさわしいですが、

フェラーリのそれはレーシングカーに近い。

というかレーシングカーそのものです。

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4速6000回転で進入するコーナーでステアリングアングルはそのままで

少しだけ右足をゆるめるとスーッとノーズがインに入る感覚はまさにスポーツそのもの。

サーキットでのコントロールをそのまま一般道でもできる気持ちよさ。

ここでフルブレーキングをすれば間違いなくスピンしてしまうような速度で

クルマをコントロールする喜びはモダンフェラーリでは味わえない楽しさです。

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それにあのベルトーネの美しいボディがついていくるのだから他に何を望みましょうか。

プラスチックやカーボンを多用したモダンフェラーリにはない美しさがあります。

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手が汗ばむほどとばした後に眺めるgt4の美しさは

今まであんなに激しいドライビングが出来た車とは思えないほどエレガントで美しい。

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しかも40年前に作られたことが信じられないほどのポテンシャルなのです。

最高速度やその加速性能だけでスポーツカーを判断するのは間違いだということが、

208gt4のハンドルを握るたびに思います。
 
美術品のようなスポーツカーがある生活は実に素晴らしい。

  by cavallino-cars | 2019-12-19 16:11 | Comments(0)

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