Dino246 or Ferrari308
日本にあるものはオリジナルのものはほとんどなく、シートベルトも308と同じようなタイプに変更されている。
512BB は20万ユーロから30万ユーロと価格が下がり、Dinoの方が高くなってきている。
お客さんの予算は4000万円。
今イタリアにあるものでオリジナルと思われるものは40万ユーロ。
日本にもってくると予算を1000万円以上越えてしまう。
一度所有してしまった方は私も含め、5000万円前後の価格ではまちがいなく購入することはないでしょう。
形に魅せられて初めて購入される方ばかりだからです。
調子のいい246はアクセルを踏むとノーズが上がるほどそのレスポンスはいい。
エンジンはアイドリングでも安定しており、
アクセルを踏むと308とも異なる独特の排気音がする。
秀逸なのは、そのハンドリングだが、
その意味でコンディションのよい固体を探すのはいまでは私でも難しいのです。
もし私が246を買うとすれば、出来るだけオリジナルのものを選びます。
シートはビニールレザー、シートベルトは飛行機のようなバックルタイプのKlippan 製、ハンドルはモモ、ホーンボタンはシルバーのリングのつくオリジナル。
シフトもダウンシフト、アップシフトが問題なくできること。
そして何よりエンジンが軽く回ること。
当時のF1ドライバーであるレガツォーニもビルヌーブも512BBや365BBに乗っていないことからもスポーツカーとして308が乗って、楽しい車であることがわかる。
それが20万ユーロで買えるのだから、私なら間違いなく308をチョイスする。
コーンズの大阪でクラシケ付きの246が5000万円をこえる価格ですぐに売れたということを購入希望のお客さんからお聞きした。購入された方は実際に乗られて購入されたか心配になります。
たしかに246は誰がみても美しい車ですが、4000万円以上も払って購入するかというとかなり考えてしまいます。
今までレストアした246は5台。そのどれもが左右のフェンダーのみみの長さがちがっていた。おそらく新車の時からそのような仕上げだったにちがいない。
さらにリアトランクの下からリアタイヤハウスまではスチールで水抜きがなく、すべての車は錆が進行してひどい状態になっている。構造的な欠陥といってもいいかもしれない。
ちなみに308のラインから下のリヤトランクからリアタイヤハウスの部分はすべてファイバー製。
錆びる心配はない。
さらに水が入った時のために水抜きの穴もあいている。
Dino246での錆の教訓を生かしてファイバーにしたと推測される。
246や208は作り自体が308に比べ、錆が進行しやすい構造になっているのです。
しかもハンドルポストからエンジンルームの熱気が熱風となってドライバーに直撃します。
エアコンはついてはいますが、効いている感じはしない。
ちなみに私が買った頃は2500万円ほど。
今は1億円近い。とても購入する気にはなれません。
しかし過去の価格の推移からみて投資として購入するのであれば話は別でしょう。
今や275やDaytona, Dino は趣味の車をこえて美術品の部類に入ってしまったような気がします。
私はスポーツカーをガレージにしまって、ゆっくり眺めて楽しむタイプではありません。
私が246を所有していた頃は年間で20日ほどしか乗る機会がなかったように記憶しています。
Dinoが良くないといっているのではないのです。
調子のいい246は確かに素晴らしい車です。
しかし308のファイバーボディに2千万円もプラスして買うことに疑問をもってしまいます。
今やオリジナルで本来の246の走りの良さを持っているものを探すのは至難の業です。
当時でさえ20台ほど乗って1台出会えるかどうかの確率でした。
個人の主観の違いといってしまえばそれまでですが、これはかつて所有していたことのある私のアドバイスです。
一度、調子のいい308のファイバーボディと乗り比べてから246の購入を考えてみてはいかがでしょうか。
いつか246とファイバーの価格が逆転する日がくるかもしれません。
by cavallino-cars | 2019-07-22 10:23 | Comments(0)