1台のgt4は大勢のスタッフの協力のもとで納車されます。

私にはこの仕事に欠かせないスタッフが大勢います。
彼らの一人でもかければもうこの仕事を続けることは難しいでしょう。

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一人はキャブレターの調整の名人の大久保さん。
かつてジェームスハントがワールドチャンピオンになった雨の日本グランプリでKOJIMA KE007のエンジンメカとして現場にいて、あの大クラッシュの車を翌日の決勝レースまでに組み上げた伝説のメカニックの一人。キャブレターの油面のチェック、点火時期のチェック、デスビ内のポイントのチェックなど一つ一つ原因を探り、不調なエンジンでも完璧に本来の調子に戻してくれます。

あとの一人は川崎にあるボディショップカワナ(044-976-9990)の代表の川名さん。
彼とは初めて246gtsのレストアをお願いした時からの30年来の付き合いです。
当時はヤナセの仕事をメインにしていた白光板金工場で働いており、そこの社長に残業はするなといわれても、タイムカードを押した後にこつこつと直してもらったことは今でも覚えています。
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夜の9時ごろ工場を訪ねるといつも246の作業をしており、缶コーヒーを飲みながらここのラインがいいとか、左右のフェンダーの耳の長さが左右がいっしょではないとか、手作りならではの246をみては日付けが変わるまで話していたことは今でも忘れられない思い出です。

後に独立して川崎に工場を立ち上げました。
これほど車の美しさ、ディテールに対するこだわりの強い職人は私は知りません。
私が今まで輸入した308やDino はすべて川名で補修を行ってからお客様のもとに届きます。
けっして手抜きはしないし、価格も適正です。その仕上がりの美しさは保証します。
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上の2枚の写真は彼が独立してから塗装をお願いした私の2台目の246。


あとはコーンズ、二コルのスタッフ、そしてそこで知り合って今は独立しているメカニックの人たち、エアコンなどの修理をお願いしている電気屋さん、車検や登録をお願いしている業者さんなど。

誰が欠けても今のようなコンディションでクラシックフェラーリはお届けできません。

今回の208gt4はオリジナルのラッカー塗装のクラックが整備中に進行し、川名氏と相談した結果、剥離塗装をすることに。彼の仕事はボディの塗装だけではありません。
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前後のバンパーのメッキフレームもはずし、ゆがんだ部分を板金し、再メッキを施します。
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今ではこれほど大きなサイズのメッキをしてくれるところは少ないのですが、すべて手配してくれます。

さらにすべての208gt4のマフラーの遮熱版および左右の箱のようなステイは取り外し、一度塗装を剥離し、錆を取り除いてから再塗装を施します。

どんなにボディを美しくてもメッキ部分やマフラーガードなどが錆びていたり、ゆがんでいるとその部分が強調され車がビシッとしないからです。ゼニアのスーツに泥だらけの靴を履いているようなもの。

塗装やメッキでお困りの方は是非ご連絡してみてください。ブログを見たとおっしゃていただければ丁寧に対応してくれるはずです。

ホィールも同様、ほとんどの308はお客様のもとに行く前に再塗装を行います。
もちろんタイヤも新品に。

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結果今回のgt4も表面は溶けるような肌の美しいgt4に仕上がりました。
塗装中も川名のスタッフがテールレンズを分解し、清掃したり、フロントやエンジンフードのアルミのバーをボディから取り外し何時間も丁寧に磨いている様子はまるで70年代のオートメーション化される前のマラネロで働くイタリア人の職人をみているようです。
そんなお客様が見えない所にも大勢の職人達の手が入っています。

今回はドイツで購入してからショールームに入庫するまで1年もの歳月がかかりましたが、それだけ待った価値のある1台となりました。

駆動系も整備は完璧でエアコンさえ良く効きます。
トップエンドまできれいに力強く回るエンジンと正確なハンドリングはこの車の命です。
ガタのあったステアリングギヤボックスを新品に交換したおかげでハンドルはクイックそのもの。

どんなに外見を美しく仕上げても、エンジン不調のgt4は乗っていて乗り捨ててしまいたくなるほどストレスがたまります。完調なエンジンの素晴らしさを一度でも経験してしまうとプラグがかぶっただけでもすぐにその異変に気がつくはずです。

すべてのgt4やGTBはベルト類や油脂類の交換などの整備を終えて、エンジン調整の後、テストランを必ず行います。
そして問題ない車だけがお客様のガレージに納車されます。

昨日、小雨の降る中コーンズ東雲工場に入庫させました。

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いつもは雨の日は乗らないのですが2週間ほど前にファイバーのオーナーからワイパーの速度が遅くなったという報告があり、テストがてら首都高にのっていくことに。

エアコンも陽がささないこんな日は寒いくらい効きます。ウインドウの外側が冷気で水滴がつき、くももって、ワイパーを動かさないと外が見えなくなるほど。

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6000回転までエンジンを回した時のあの甘美なサウンド、ドライバーを包むようなダッシュパネル、クロームメッキで縁取られたメーター、黄色のラインの入ったスイッチ類、カチカチとシフトのたびになるシフトゲートの音、そして細いMOMOのステアリング。
すべてが美しく、官能的で、この独特の世界はドライバーを虜にします。
この車を運転しているとニキラウダやビルヌーブやレガツォーニのいた70年代に一気にワープしたようです。

アクセルを開けた時のコックピットに満たされるエキゾーストノートを聞くたび、思わず叫びたくなるような衝動にかられる。

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けっしてモダンフェラーリのように速くはないがここまでエモーショナルに私をさせる車はこの時代のフェラーリだけ。

今回初めて日本で小雨の中、高速を走りました。
この車なら雨の日でも毎日乗っていたいと思えるほどの気持よさです。
今思うと2009年6月に初めてスコットランドでgt4に乗った時も雨でした。
あの時から今まで10年間、いつ乗ってもいまだに色褪せない感動を私にあたえてくれます。
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ワイパーもきちんと作動することを確認。
運転席側のブレードのみが停止時に下すぎるのでそれも調整してもらいます。

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今回は最終の点検とエンジンルームクリーニング、内装クリーニングそしえボディコーティングのための入庫。
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完成は来週末。
ETCの取り付けも既に完了しておりますのであとはお客様の登録書類待ちです。



  by cavallino-cars | 2019-07-02 12:37 | Comments(0)

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