GTBか、それともgt4か

輸入当時はオリジナルのマフラーが装着されていたが腐蝕のため、ステンレス製のものに交換。
そのマフラーとの相性も抜群で低回転から高回転までいっきに吹け上がる。

100kmを5速で走るとあのキーンという独特のジェット機のような音を奏でるのもこの当時の車ならでは。
初めて308を乗る人には私が30年前に味わった時の感動を与えてくれるにちがいない。

アクセルをいっきに踏み込むとノーズが上を向くほどそのレスポンスは素晴らしい。
2速や3速でまわるタイトコーナーではクリップで少しだけアクセルを緩めるとノーズがスーッを気持ちよくインに向く。これほど楽しい車はないと思える瞬間だ。
特にアクセルの開度に応じて鋭く加速するgt4は、思わずアクセルのオン、オフを繰り返したくなるほどリニアに反応する。
4速で回る高速コーナーでも同様にアクセルだけでノーズの向きを変えることができるのはまさにスポーツカーを、そしてフェラーリを運転しているという楽しさに溢れている。
今の車を運転するように操縦しても電機モーターのように回るエンジンと、しなやかにストロークする足回りはスポーツカーそのものでとても40年前に作られたとは思えないほど素晴らしい。
その運動性能の高さとクラシカルなインテリアや外観のギャップこそがgt4の最大の魅力かもしれない。
さらに油圧クラッチを装備したおかげでその踏力はノーマルの3分の1ほど。
まさにディリーフェラーリとしても使用できるほどのフレキシビリティも備えている。

さすがにgt4と比べると視界は狭まるが、視界は良好で左右のフロントフェンダーのふくらみもはっきり見え、ヘッドライトをポップアップすればフロントの先端も把握できる。

ノーマルの重いクラッチを踏み込み1速にいれ、発進する。
オーナーがフランスに移り住み、半年以上英国においてあったこのGTBはほとんど乗られていなかったためにエンジンも重いが乗り込んでいくうちに軽くなっていくにちがいない。
シングルパイプからの排気音はまさにフェラーリそのもので、回転数に応じて弾けるようなサウンドには心が躍る。
2速で発進できるほどのエンジンのフレキシビリティはgt4とかわらない。

gt4にくらべやや寝ている細いステアリングから伝わってくる路面状況は正確そのもの。
寝そべるようなレーシングカーのようなドライビングポジションはgt4に比べよりスポーティだ。
3000回転くらいで巡航する際にはドアの内張りのアームレストは右肘をつき、ステアリングを握るのに絶好の位置につく。
見て美しく、しかも実用的なコックピットは理想的で、イタリアのスポーツカーの最高峰と呼ぶにふさわしい。
コーナーでアクセルコントロールでノーズの向きを変えるミッドシップ独特のドライビングスタイルはgt4と変わらない。
油温計のみは右下のポジションで見辛いが、水温計、油圧計、タコメーター、ジェネレーターの警告灯の配備されたメーターナセルは実に見やすく配置されている。
当時の職人により丁寧にはられたダッシュボードのエアダクトからはオプションのエアコンにより、十分に冷えた風がでてきて狭いコックピットを快適にしてくれるのも嬉しい。
ピュアスポーツのGTBを選ぶか、日常の足としても使えるgt4を選ぶかは迷うところだが、その運転する歓びと美しさはどちらも変わらないことだけは間違いない。
by cavallino-cars | 2019-03-23 18:18 | Comments(0)