先週、以前紹介させていただいたガンメタリックのGTBターボのオーナーと連絡がとれ、ミラノに向かった。
ガンメタリックのカラーリングはヨーロッパでも人気らしく、すでに私の後にはオーストリアから見に来たいという人がいるという。

お世話になったのはいつものようにBritish Airways (英国航空)。

成田のラウンジはJALとの共同運航便のためサクララウンジが使えます。

ヒースローについたのは午後の5時半。

ヒースロー発6時半のBA570ミラノ行きの便に乗り継ぎ、イタリアに着いたのは午後の9時半でした。
翌日、9時にミラノ市内にあるオーナーの元へ。

このGTBターボは昨年9月まで新車からずっと同じオーナーのもとで大切にされてきた固体で、今のオーナーが譲り受けたもの。


走行僅か24600kmというだけで十分魅力的だが、ガンメタリックの外装にクリーム色の内装がこの車の価値をさらに高めている。

色の好みは人それぞれだが、少なくとも私には非常に魅力的な色にみえる。クリーム色の内装のコンディションも実にいい。

ヘッドレストに刻印された跳ね馬はオリジナルの証です。
総生産台数308台のGTBターボはそのほとんどが赤で、今まで赤以外の色でマーケットにでたものは昨年のブルー1台のみ。

実際に赤以外のものを私が見るのは今回が初めて。年齢のせいか私にはこのうえなくエレガントにみえる。
今後何十年かけてもこのコンディションでこの色のものを見つけることは不可能に違いない。それほど貴重な一台なのです。

おそらくモデナのマラネロで実際にグリジオメタリザートというカラーリングで出荷されたGTBターボはこの1台だけかもしれない。
上の写真はエンジンフード端に貼られた塗装のカラー番号。

まずはオーナーが特別に取り付けたセキュリティーを解除。ローマに住む従兄弟が私がモナコヒストリックや348チャレンジに参加したことのあるPILOTA ということを話してくれていたこともあって、試乗してみないかとキーをすぐに渡してくれた。

フュエルキャップの下につくラバーの状態からの走行距離の少ないことがうかがえる。
暖気中、マフラーから白煙が出ているかも必ずチェックする。水温が上がっても、煙がとまらない場合はピストンリングやバルブガイドからオイルが燃焼室に入っている可能性があり、エンジンをOHしなければならないからだ。

フロントのシグナルライトもクラックや飛び石がないかをチェック。左右とも傷ひとつない。こちらは現在新品パーツが欠品中で入手するのは困難。昨年英国で売りにでたものは27万円にもかかわらずすぐに完売してしまった。
十分に水温、油温が上がってから、電動のガレージを開けてもらいミラノの街にくりだした。

2速、3速、4速とアップシフトをし、同様にダウンシフトをしてシンクロの傷みをチェック。ちなみに灰皿は使用した様子はない。80キロほどからのフルブレーキングでまっすぐ止まるかどうかでステアリングギアボックスのガタもチェックする。さすがに走行距離が少ないだけあってブッシュの傷みもなく、足回りはしっかりしているのがステアリングから伝わってくる。

あの背中をシートに押し付けられるような加速はミケーレアルボレートがドライブした1985年のF1の156/85を思いおこさせる。

当時の1500cc、6気筒のF1のターボ技術がこの車に確実にフィードバックされている。

エアコンやヒーター類のインジケーターの作動もチェックする。
オーナーの会社のガレージにもどる頃にはこの車をゆずってもらうことを決めていた。

マニュアル類はすべて揃い、ファーストオーナーが記載された保証書、

ASIの書類、

そしてオリジナルのエンジンキーとドアキーが2セットあるのも嬉しい。

タイミングベルトの交換履歴は2010年。日本にきたらベルト類の交換を含む整備をすませ、クリーニングをすれば87年にマラネロを出たきた時のような美しさを取り戻すに違いない。

また素晴らしい1台が Milano からやってくる。
東京到着予定は8月初旬。