自分だけの1台

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今から9年前の2009年6月、雨まじりのスコットランドに降り立った私をまっていたのは英国人の弁護士のSantoni氏。彼の自宅に招かれ、一杯の紅茶をいただいた後、ガレージからgt4を引き出し、夕方の薄暗い英国を2人で走った。

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アップヒルのコーナー手前でダウンシフトした彼はアクセルワークでgt4を横に向けながら雨のコーナーをクリアしていく。
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弁護士でプロドライバーのような運転をする英国人にも驚く。

今まで横に乗せられてこんな運転をされたのは大田哲也氏と中谷明彦さんと友人のエリックコマスくらいです。

そのアクセルレスポンスは素晴らしく、右足に即座に反応して面白いようにコーナーを滑りながらクリアしていく。

横にのっていてもこの車のポテンシャルの高さがわかる。

運転を変わってからもアクセルワークでこれほどまでにリニアにノーズがインに入ることに驚く。

まるで348チャレンジで筑波最終コーナーの出口でアクセルを少しだけ戻し、外を向くノーズを中にタックインさせ、車が滑って方向を変えるあのぞくぞくするような感覚。

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それがいとも簡単にできてしまう。

バランスのいい足回りに正確なステアリング、それにアクセルレスポンスの良さという3つのファクターがすべてこのgt4にはある。
ミッドシップならではのコーナリング。

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私のクラシックフェラーリのイメージは美しいが遅く、たった大きなステアリングだったり、ディトナのように直線やコーナリングは素晴らしいが、パーキング時の重いステアリングやプアなブレーキなど乗り辛いという印象が強い。

見るぶんには申し分ないが、スポーツカーとしての運転する楽しさに欠け、所有する気にはなれなかった。

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あの誰もが少年の時に憧れたBBも実際に乗ってみるとトラックのように重く、コーナーリングはアクセルで車をコントロールするのはエンジン搭載位置の高さゆえか非常に難しい。
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その加速も緩慢でスポーツカーというよりはGTのイメージに近くがっかりした。

それまでは自分で所有したくなるようなクラシックフェラーリには出会わなかった。
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唯一の例外はDino246で、過去に私のガレージには最初はgtsがそしてその後、gtがきた。

独特なサウンドに軽い車体、クイックなステアリング。そしてあのキュートなボディ。

しかしエアコンが装備されていないため、日本では冬のほんのわずかな期間しかドライブする気にはなれず、乗るのは年に20日程度。

ドアロックをしたままドアノブを引くとワイヤが伸びてドアノブが元に戻らなかったり、
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オリジナルのビニールレザーのシートは汗をすわず、春や秋でさえ背中はびっしょり濡れてしまう。

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暑いので三角窓を開けて風を入れようとするのだが、窓についた金属製のノブは何度か開け閉めしているとポトリととれてしまう。何度アロンアルファでつけたことか。

最初に手に入れたgtsはデタッチャブルトップをつけても室内から見ると空が見えるほどの隙間があり、雨の日にはステアリングを握る手首にポタポタと水滴が落ちてきた。

そんなトラブルも上回るほどのドライビングプレジャーをもたらしてくれた246だったがあまりにも乗る機会がなく、結局モナコのレースにでれる、lotus を買うために手放した。

最初に所有した日本仕様のgt4は私にとってのファーストフェラーリ。
外装や内装そしてあの独特なキーンというフェラーリサウンドには魅了された。
しかしその後乗ったQVや328に比べるとエンジンのレスポンスが緩慢で、手放してしまう。

それに対しScotland のサントーニ氏の欧州仕様のgt4はまったく別物で、素晴らしいアクセルレスポンスでコーナリング中も自在に車をコントロールできる。日本仕様とは別の車だった。
キャブレター独特のアクセルに直結したような加速感と独特のサウンドは355や458などのモダンフェラーリを上回るほど私を魅了した。

私がフェラーリ348チャレンジレースに参戦していたことも大きく影響している。
レースをしたおかげで車をコントロールする楽しさをおぼえたからだ。
そのおかげでgt4の素晴らしさを再認識できたのだと思う

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サーキットでアクセルを急に閉じたり、ブレーキを踏んだらスピンするような速度でのコーナリング中にアクセルコントロールだけで車をコントロールする楽しさを一般道でいとも簡単に楽しめるのもgt4の大きな魅力。

今のモダンフェラーリではポテンシャルが高すぎるのとあらゆるデバイスがついているためこのような車をコントロールする楽しさはサーキットに持ち込まない限りは経験できない。

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もう一つのgt4の大きな魅力はそのデザインだ。

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246の美しさには劣るが手作りの美しいボディと内装は今のモダンフェラーリとは比べ物にならないほど丁寧に作られている。

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当時のデザイナーは安全基準がきびしくなかったためにより美しさにこだわったデザインが可能だったのだ。ウエッジのきいたボディ、メッキパーツを使用した美しさ、内装はすべて手縫いで仕上げられた。
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アクセルぺダルには革まではられている。

クラッチペダルやブレーキペダルを覆うラバーのカバー、ハンドルポストにまでレザーで覆われる。
5年も経過するとゴム劣化してべたべたしてくるモダンフェラーリとはその作り方に対する姿勢がまったく異なる。

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当時のフェラーリには手作りの良さに溢れている。

まるでイタリアの美しい遺跡のような荘厳さと同じ美しさ、職人やデザイナーのこだわりや誇りのようなものが随所に見られます。

今ではけっして出来ないコロッセオやヨーロッパの街並みと同じような美しさが308GTB やgt4にはあるのです。
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ひとたびそのコックピットに座って、ステアリングを握れば、モダンフェラーリとの違いを即座に感じることができるでしょう。
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特にGTBのダッシュボードからつながったドア内側の肘掛はステアリングを握ると、
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肘が丁度いいところにおさまるようにつけられている。

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無駄をそぎ落としたレーシングカーを誰でも運転できるようにモディファイし、豪華に仕立てあげてモダンフェラーリも素晴らしいですが、手作りだけのもつクラシックフェラーリのエレガントさもまたひけをとらないほど私を魅了します。

43年前にデビューしたgt4が今でもひときわ輝いているのは当時のデザイナーの美しさに対するこだわりや、それを実現させた職人達の仕事、そしてF1での頂点をきわめたエンジンを含む技術のフィードバックがあったからでしょう。

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当時のF1ドライバーが高価なBBやデイトナを選ばずにV8engine を積んだgt4やGTBを好んで自分のガレージにいれていたことからもわかるように308やgt4はスポーツカーとして12気筒を上回っていたから他ならない。

そしてレガツォーニや、ニキラウダ、アルボレートそしてビルジルヌーブが愛したGTSやgt4のステアリングを握れば彼らの時代にワープしたような感覚になります。
新車ではないので同じコンディションの車はないが、オリジナルを保ち、彼らがドライブしていた時と同じ性能が楽しめるものだけをお届けしています。

ブレーキを踏んでしまえばスピンするような速度で3速や4速でクリアしていくコーナリング中にアクセルを少しだけ戻した時の車がスライドする感覚。

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そして出口にむけ、スロットルをいっきに開けて
ノーズが上を向く様はまさにスポーツカーそのものです。

美しいボディに秘めたこのポテンシャルこそがこの車の最大の魅力です。
自分だけの1台としてこれほど素晴らしい車は他にあるでしょうか。

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この車に乗れば美しいものを愛するイタリア文化がそして往年のF1 Pilota が愛車にしていたことが理解できるはずです。

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9年以上たった当今でもサントーニ氏の308gt4に乗った時と同じ感動が、ステアリングを握っても蘇ってくるgt4は私のベストフェラーリなのです。







  by cavallino-cars | 2018-10-19 16:35 | Comments(0)

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