何度もお話してきているが、現車を見ずに購入することは実に危険で、たとえ100万円ほど安く買えたとしてもそれ以上の出費を余儀なくされたり、なおすことも不可能な場合もあることを覚悟したほうがいいでしょう。
gt4ではフロントバンパーから中のヘッドライトが見えるものは出来るだけ避けたほうがいい。
何らかの理由でバンパーが下に下がっているからです。
上は正常なもの。
ドアとボディの隙間も上と下がこのように違い、空き過ぎているものも買わない。下の隙間が大きくなっているのがわかりますか。
リヤタイヤハウスはオリジナルは回りこんでいるいる部分がリベットでとめられていて、
このように小さなクボミがある。
ないものは塗装をかなり厚く塗られているか、フェンダーを交換している可能性がある。
GTBではドアパネル前方につくスピーカーのカバーをとめるネジはオリジナルはプラス。
写真のようなマイナスのものは交換したもの。
肘掛の内側のネジや
リヤトランクカバーを固定するキャッチ部分のネジもプラス。
このようにリベットでとめられているものはない。
フロントウインドウは飛び石などで破損して交換してあるものも少なくない。その際窓を固定するモールの納め方によってどのようにこの固体が扱われてきたかを知る目安となる。上はオリジナル。
このようにずれているものは出来るだけ避けたい。大きな問題ではないのですが、施工の仕方できちんと納まるのにこのような取り付けをしているのが好ましくないのです。
フューエルキャップカバーを開ける時に上のモールに干渉して三角形のカバーが開き辛いものもある。これはリヤクォーターピラーが押されているか、カバーの付け根にひずみがあるかのどちらかの可能性がある。最悪は事故を起こしている可能性もあるのであまりお勧めはしません。
センターコンソールのレバーがきちんと作動するか、カバーが破損していないかなども確認しなければなりません。
ブログでも紹介してますが、ドア下の錆も大切な確認事項。見た目で腐りがわかるようなものは避けるべきです。
その他ボディに塗装の浮きがあるかどうかも見るべきでしょう。プクッとういているところがあると塗装をとると腐食が進行している場合があるため、その部分のパネルを切り取って新しい鉄板を溶接しなければなりません。
2ヶ所くらいならまだいいでしょうが、全体にあるとなるとかなり問題です。
gt4に戻りますが、エンジンフードとトランクの間のこの部分は通常は黒です。ボディと同色に塗られているものも好ましくありません。
それに気がつかない意識の職人が再塗装しているということで、他にも必ずオリジナルと異なる塗装がされていると思った方がいいでしょう。
これはリヤのトランクとエンジンフードのオープナー。
通常はすっぽりとボックスが納まるのですがこのように下がネジで固定してあるものはおそらく下がういてしまうからで、何らかの問題があるため。こういう固体も避けたい。
40年も経過している車ですから一度もこすったり、ぶつけたりしていない車を捜すのは困難です。しかし、大きな事故を起こした車は避けたい。一番大切なのはいかに前のオーナーに扱われてきたかでしょう。大切にされてきたオリジナルコンディションの固体は独特のオーラがあります。この10年間何百台もの308やgt4 を見てきて、
40年前にマラネロからでてきたままの状態を保っているのはごくわずかです。
自宅のガレージに納める1台は出来るだけ当時のオリジナルの状態を維持しているものにしたい。
クラシックの価値は運転する楽しさもありますが、同じようにオリジナルのもつ美しさにもあります。
その意味でも現車を見ないで購入するのは思った以上のリスクがあります。
日本でも最近では輸入代行をしてくれる業者もありますが、現地のスタッフが確認に行ったとしてもそのほとんどがこのような知識をお持ちだとは限りません。
何十台も所有することの出来るコレクターは限られています。
大多数の愛好家は普段乗られるセダンと趣味のクラシックカーの2台でしょう。
それを大切に維持していく気持ちはオリジナルだからこそ生まれるのだと思います。
モダンカーにはない美しさ、キャブレター独特のアクセレーション、フェラーリならではのキーンという音色、
コックピットに座ると70年代のイタリアにタイムスリップしたような高揚感。それらはクラシックフェラーリの持つ魅力です。
古い物を大切にする文化はそれが美しく、現代ではけっしてできないものだからです。
その意味でも自分だけの1台はオリジナルに出来るだけこだわりたいと考えます。