Che Bella!! Dino208gt4


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毎日のように208gt4のオファーをチェックしているが、シートの生地や、トランクルームのカーペットがオリジナルでなかったり、
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マフラーが4本出しのものに交換されたりしているものが多く、マラネロをでてきた状態のものはほとんどない。
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上の2台はマフラーが交換された208gt4。
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この写真のようなオリジナルのシングルパイプのマフラーやその前につく遮熱板はパーツとしてでてくることはまずない。

そんな中で久しぶりにオリジナルのgt4がドイツから売りに出されたのを知って、急遽フランクフルトに行ってきた。
航空会社はいつもの英国航空。ヒースロー経由で金曜の夜の9:50分に到着。ターミナル2から電車に乗りターミナル1に移動し、ホテルにチェックインしたのは午後の11時をまわっていた。
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約束の日曜の朝6時にホテルの窓のカーテンを開けると外はご覧のような大雪。
レンタカーで行く予定だったが、オーナーから近くの駅まで迎えに行くので電車で来たほういいと言われ、キオスクに7時52分発のチケットを買いにいく。
早めにホテルをでたが、売り場には20人くらいが並んでいて、購入できたのは発車の15分前。

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宿泊先のシェラトンエアポートからは濡れずにホームまでいけるので便利。徒歩5分ほどです。
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日本と違い改札はなく切符がなくとも誰でも乗れてしまう。
チケットは車内で車掌さんが確認するだけです。ちなみに来たのは乗車して1時間ほどたってから。
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空港駅をでて1時間半、午前9:34分にOffenburg駅に到着するとオーナーが出迎えてくれた。
なんと外気温はマイナス2.5度。
駅から車で15分ほどの倉庫が彼のコレクションが納まるガレージ。

1977年のこの208gt4はフィレンツェのオーナーから昨年購入したばかりだが、この大きな倉庫が4月末に取り壊されることになり、彼の15台もあるコレクションを急遽処分しなければならなくなり売ることにしたという。
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マフラーはオリジナルのシングルパイプ。
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薄く角ばった前後バンパーと小さなグリルがつくフロントフェースは初期モデルだ。
フロントには当時のオプションのスポイラーがつく。
ミラーだけは純正のVitaloni に交換したい。
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エアコンはシフトレバー前に噴出し口のある後期タイプ。
日本で乗るにはエアコンは必需品。
ちなみに初期モデルはエアコンの噴出し口はダッシュボードの上にしかなく、冷却効果は後期型と比べかなり落ちる。
その意味で初期モデルの美しいフロントフェースとエアコンの噴出し口が増設された後期の内装の組み合わせは理想の1台なのです。
おそらくchassis#13030のこの固体は初期モデルと後期モデルの過渡期のものなのだろう。これは大変貴重な固体で数台しか存在しないのかもしれない。今まで何十台ものgt4をみてきましたが、初めてです。

シートベルトも巻き上げ式なのもうれしい。
初期型はベルトが巻き込まないタイプなのでだらっとシートの横にのびており、気をつけないとドアを閉める時にはさんでしまう。
ポールフレールも新車を試乗した時にこのベルトだけはフェラーリという高級車にはふさわしくないと苦言を呈したほどだ。

シートはアルカンタラとビニールレザーのコンビ。
破れやほつれなどはいっさいない。オドメーターにしめす55,356kmという数字はそのきれいさからみても間違いないだろう。
あいにくの雪だったが敷地内を2kmほど走行してトリップが動くことやギアのシンクロなども確認できた。
残念ながらブレーキングのテストなどは出来なかったが、万一不良があればステアリングギアボックスやブレーキパーツは東京に在庫があるので心配はない。ガレージ内でウインカー、ハザード、ワイパー、ヒーターモーター、ヘッドライト、パワーウインドウの開閉なども点検。すべて問題なし。
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エンジンルーム内のスモールライトも点灯するし、イグニッションコイルも金色のオリジナルがつく。
エアフィルターのふたをとめるナットも当時のものなのもいい。
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ワイパーブレードは純正のキャレロ製、
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フロントウインドウは新車時のもの。
グリルはすべてシルバー。208はフロントボンネットの熱抜きのグリルやエンジンフードのグリルはすべてシルバーなのが特徴。
308のように黒く塗られているものが多いなかそのままなのもいい。
今ではこんなすべてがオリジナルの車にめぐり合うことはめったにないのです。
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ヘッドライトの黒いカバーを固定している小さな黒いネジもオリジナルだ。
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さらにイタリアでASI(イタリアクラシックカー協会)の最もコンディションのよい車に与えられるゴールドプレートの認定書がつくのもうれしい。
鍵は1セットだが、当時のオリジナルキー。
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もちろんリアトランクの生地も当時のもの。
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ドアパネルのポケット上につくライトは角ばった初期型のもので左右のドアはもちろん、
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リアシートの上の室内灯もすべて点灯する。このライトも欠品していて純正のものをさがすのは困難。
何度もいいますが、この車のように純正ものもがついているものは本国でもめずらしく、貴重なのです。
ドア内張りもすべてマラネロを出てきた時のままの状態。しかも40年も経過しているとは思えないほど素晴らしい状態。
交換したり、張り替えたものではない。
このオリジナルこそが一番重要なのです。
特に内装に関してはどのように扱われてきたかによってそのコンディションはまったく異なります。
すべて張り替えて新車のように作られた車もありますが、一見きれいにみえてもオリジナルのもつ独特な美しさやオーラはありません。
それはクラシックカーだけがもつ歴史という大切なファクターを欠いてしまうからです。
当時の生地を使用すればいいのかもしれませんが、残念ながら今では入手は不可能。
すべて違うマテリアルの新品に交換したものでは意味がないのです。
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イタリアの美しい建造物や美術品が何百年もの時をこえて今なお美しさを放つのと同様、当時のものだけがもつ美しさや価値がこの固体にはあります。
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41年前にマラネロからデリバリされた当時のインテリアにつつまれ、1977年に最初のオーナーがコックピットで胸躍らせた、たあの甘美なフェラーリサウンドを聴きながら、アクセルを全開にする喜びは2018年の今も昔も同じ感動を与えてくれます。
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むしろニキラウダやビルヌーブなどのドライバーの全盛期にタイムスリップすることが出来る現代の方がその感激は大きいかもしれません。
当時の車がコーナーでアクセルを緩めただけでスッとノーズがインに入る様はまさにスポーツカーそのもの。
とても40年前の車とは思えません。ミッドシップフェラーリならではの楽しさです。
2時間ほど車を点検しした後、譲ってもらうことにしました。
イタリアでもここまでオリジナルのものを捜すのは今では非常にむずかしいのです。
イタリアからくるオファーもトランクの生地が張り替えてあったり、マフラーが交換されていたり、この半年あまり、まったくといっていいほど見に行こうという気持ちになるような車はありませんでした。
久しぶりに出会えた1台です。
東京にきて、塗装の手直しと、クリーニングをすれば見ちがえるほど美しいgt4になるでしょう。
東京への入港予定は5月末。
キャブの調整をすませ、フル整備をしてとばせば気分はいっきに70年代にワープする。気分はレガツォーニだ。
今から日本の道を走らせる日が楽しみだ。


  by cavallino-cars | 2018-03-22 17:26 | Comments(0)

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