予期せぬトラブル





上の写真は二コルでの納車前整備の様子。
カムカバーのガスケットの交換、タイベル交換、ステアリングラック交換、ホース交換、油脂類の交換、キャブ調整などの重整備。


上の写真は交換した古いプーリー。見た目ではまったく異常はわからない。
新しいプーリーに交換後、100kmほど走行してもゴム片はでないのでおそらく原因はこれ。
こんなことは初めて。
これからはベルト交換時には慎重に点検する必要があるが、ご覧のように目視では確認するのが困難なのだ。
出来るだけトラブルのないように整備して納めてもこのようなことはおきるのです。
高価になればなるほどオーナーは購入後は自分のリスクで、整備して自分だけの最高の一台にしていかなければなりません。

古い物を手を加えながら大切に維持し続けていく。
クラシックフェラーリを維持することはEnzoの遺産をを引き継ぐことです。
イタリアのあの美しい建造物を費用をおしまず維持するのと変わりません。

この固体は2013年2月にスイスの個人オーナーから譲り受けた1台で納車して4年ほどたってからのトラブルです。

今では今まで以上に快調との連絡をいただきました。
このようなまさかのトラブルもおこるのです。





オリジナルにこだわって厳選して輸入したものだけがもつ美しさがあります。
どんなにお金をだしても私が輸入したものと同じコンディションの車は簡単にはみつからないでしょう。
それが弊社のお届けするクラシックフェラーリの最大の魅力かもしれません。
たった1台の自分だけの素晴らしい1台がガレージに入っている歓びはオーナーにしかわかりません。
今まで輸入したすべての車に共通するのはイタリアの息吹や70年代当時の最高のスポーツカーにしかない素晴らしさに溢れていること。
以前コーリンチャップマンのご子息のクライブチャップマンの運営するクラシックチームロータスがメンテナンスし、モナコヒストリックに出場した1955年のロータスマーク9を買ったことがありました。
3年前にモナコを走った車は完璧なはずでしたが、初めて首都高を走った時に10kmほどしたところでエンジンストップ。
そのまま工場に持ち込み、エンジンをオーバーホールすることになり数百万円の費用がかかりました。
でも前のオーナーや仲介した業者にクレームを言うつもりもありませんでした。
買った後はすべて自己責任。もちろん予想外の出費はいたかったですが、後悔はしていません。
購入していなければマーク9の素晴らしさも知らなかったでしょうし、モナコを走ることもなかったでしょう。
60年前のロータスも40年前のフェラーリも同じです。ロータスは納車前整備などは一切ありませんでした。
クラシック業界ではそれが普通なのです。
幸い、病気と異なり、治らないトラブルはありません。パーツをかえればなんとかなるのが古い車の魅力です。
私はクラシックフェラーリにはトラブルがあってもあまりある喜びをもたらしてくれることを知っています。
だからこそ10年も20年も一人のオーナーの元で過ごす車が多いのでしょう。

世界中に1台だけの自分だけのクラシックは、人生さえも豊かにしてくれます。

レースでつちかわれた当時の技術にあふれたフェラーリにはスポーツカーに求められるすべてがあります。
ニキラウダやレガツォーニ、そしてビルヌーブやピローニ。彼らのコンマ一秒をかけてレースにのぞんだスピリットが当時のフェラーリのコックピットからは感じられます。そんな車が他にあるでしょうか。
過去のオーナーは、だからこそ、費用をかけても維持し続けてきたのでしょう。
弊社の輸入する車はイタリアでも10台見て1台出会えるか、どうかの貴重な車ばかりです。
トラブルがないのがあたりまえなベンツやアウディとは違います。トラブルが出ることを予想しながら、メーターを常に見ながら運転し、臭いや音や、振動に5感を磨ぎすませてコックピットに座るF1ドライバーのような気持ちで乗るのがスポーツカーだと思います。
古い車にはトラブルはつきものです。今回のようなことがあって手放す方もいらっしゃるでしょうが、長く持ってはじめてわかることもたくさんあるのです。長くつきあえば、付き合うほど、車に対する知識も増え、愛着もわいてきます。
見て美しく、乗れば至上の喜びをもたらしてくれる自分だけの1台のある生活は実に楽しく、それがクラシックフェラーリならばもう他に何も望むものはない。
by cavallino-cars | 2018-01-16 14:57 | Comments(0)