車の愛し方
形に魅せられる人、速さに惹かれる人、音や臭い、内装など。

フィアットのX1-9、アルファスパイダー、ロータスエスプリと乗り継いできて、念願のフェラーリを手に入れた。
ボディはロータスとは比べられないほど強固で内装も同じ手作りでもまったくそのテイストは異なる。
ショップから初めて自分でステアリングを握って帰ってきた時のことは今でも憶えている。

フェラーリならではの世界に惹きこまれた。

日本仕様のgt4ではあったが、22歳の私にはまさにアナザーワールド。週末のドライブが楽しみでならなかった。
フェラーリというブランド、キャブレターエンジンの独特なサウンド、イタリア車ならではの内装の素晴らしさに惹かれた。
ヒールアンドトウも知ってはいたが、正しいやり方や車の挙動やスポーツドラビングのいろはさえ知らなかった。
欧州仕様とのエンジンのピックアップの良さの違いなど知る由もなく、それでも十分すぎるほど刺激的だったのだ。
松田コレクションの松田さんやその友人たちにもお誘いいただき、10台以上のフェラーリでのツーリングは夢のような時間だった。
一人で早朝、箱根まで走りに行ったこともあった。
今は亡き車好きだった父を助手席に乗せてターンパイク、長尾峠を走ったことはいい思い出だ。
そのコックピットは世界最高のスポーツカーと呼ぶにふさわしく、ハンドルを握るたびに胸が躍った。

そんな中で私のカーライフを変えたもう1台は348だ。
348チャレンジでレースに参戦したことで車をコントロールする楽しさを覚え、ますます車が、そしてフェラーリが好きになる。
今まで知らなかった車の楽しさをレースを経験したおかげで知った。
それまでは車の楽しさの3割ほどしか知らなかったと思う。
レースをしたおかでで今まで見えなかった70パーセントの車をコントロールする楽しさを知った。
年間1000万円ほどレースに費やせる人は少ないだろうが、出来る環境にある人には是非お勧めしたい。

アクセルを急激に閉じればスピンしてクラッシュする速度でタイヤのグリップをステアリングに感じながらのコーナリング。
その状況でアクセルを少しだけ緩めるとノーズがスッとインに入るあの感覚。
車をギリギリのところでコントロールする楽しさは麻薬のようなもので、レースとなればそれは媚薬だ。
レースというカテゴリーであれば勝つために間違いなく一番新しく、速い車を選ぶ。
しかしプライベートで選ぶなら乗って楽しく、自分だけの1台になるようなものを選びたい。

ヨーロッパ仕様のその車のレスポンスは過去に所有していた日本仕様のものとはまったく別物だった。
エンジンはアクセルのほんの少しの踏み加減でもリニアに反応し、バランスは小雨の降るスコットランドを容易にドリフトさせながら走らせることができるほど感動的だった。
レースをやっていなかったらこの素晴らしさに気がつかなかっただろう。





レーシングカーのようなハンドリングとコーナリング、ミッドシップならではの挙動は348でレースをはじめた私には実にコントロールしやすく、馴染みやすい。

大きさ、コントロールのしやすさ、あらゆる面でこの5台が私にとってはベストフェラーリなのです。
GTBターボを選び、328をあえて選ばなかったのは大好きなあのF40 のスリリングさがGTBターボにはあるからだ。


8年ほど前から308の輸入をはじめ、何十回もイタリアを訪れた。

だからこそ今みてもはっとする美しさがあるのだろう。






こんな走りができるのはフェラーリならではだろう。
ドライビングの後に眺めるそのボディの美しさはより輝いてみえる。
スポーツカーは速く、美しくならなければならないというEnzo の言葉そのものがこの車たちには息ずいているのだ。



美しく、速く、運転して無常の歓びをあたえてくれる車が私は好きだ。
そんな車を今年もお届けしていきたい。
謹賀新年
by cavallino-cars | 2018-01-02 02:13 | Comments(1)
