
今年の4月にgt4を納車させていただいた。

オーナーが大変気に入っていただいたようで、すべての内装の革部分の染め直しとメーターパネル内のガラス部分の清掃をして欲しいとの依頼があった。

シート類をはずしているうちにメーターパネルをはずし、クリーニングをする。

タコメーター、スピードメーター、水温計、油温計、油圧計、ガソリンゲージなどすべてのメーターをはずすにはステアリングをはずして作業をするのでシートがないほうが効率がよい。

スピードやタコメーターなどの大きなものはガラスが簡単に外れるが、油圧計などの小さなものはメッキのリングでかしめてとめられているので取り外しには注意が必要。

無理やり取り外してしまうとメッキ部分が割れて使用できなくなる可能性がある。

本日すべてのメーターのガラス部分の清掃が完了。明日からは内装の組み付けです。
40年前にマラネロをでてきた時のような美しさを取り戻すまであと数日。

シートやセンターコンソールなど、作り直すのではなく、当時のものを染め直してレストアするのが私の流儀です。
上の写真はきれいに塗りなおされた左右のフロントシート。センターの布部分はオリジナルでクリーニングのみ。
左の座面にあるのはレストア済みのリアシートのヘッドレスト。
右にあるのはシフトゲージとサンルーフの開閉用のレバーのケース。どちらも美しく仕上がっている。

クラシックカーを買うときに一番重要なポイントはどれだけオリジナルのものが残っているかということ。
多少の傷があってもオリジナルウインドウの方が確実に価値があると考えます。

特に内装はデリバリー当時のものがそのまま残っている状態がべストです。
張り替えたものは以前の状態がまったくわからない怖さがあります。
その意味でもオリジナルであることはその固体のコンディションを判断するためのにも重要なのです。
上は今回の作業で乗り降りの際についた靴による蹴り傷もすべてとれたドアパネル。
多少乗り降りに気を使いますが、自分だけの1台としてはここまでこだわる気持ちがよくわかります。

皺がひどかったり、色落ちしているものでも今の技術なら新車時にちかい状態に再現することができます。
但し、切れていたりするものは別で購入時には再生できるものだけを選びます。
リヤのトランクの生地もオリジナル以外のものは購入しないのも私のポリシー。
今回の作業を見ていると40年前のフェラーリが本来の輝きを放ち続けるのはオーナー次第ということを痛感します。

日本でもイタリアでもそれは同じで現地でひと目みただけで欲しくない車とどうしても日本に持ち帰りたい車の差はこのような愛情がどれだけその1台に注ぎ込まれてきたかの差なのでしょう。

すべての内装が組みつけられるまであとわずか。完成が楽しみです。