Dino208gt4
私も乗ってみるまではすくなからずそういった印象をもっていた。

328とはまったく異なるターボの加速を一度でも体験したならけっしてプアマンズフェラーリなどという言葉はでてこない。
むしろ40を彷彿とさせる強烈な加速とあの甘美な排気音は328よりも刺激的でもある。
その意味でDino208gt4 はどうか。
GTBターボのように308を上回るような加速はしないが、当時の2リッタークラスのスポーツカーと比べると圧倒的にレスポンスのいいエンジンとクイックなステアリング、ボディ剛性の高さ、どれをとってもフェラーリの名に恥じない。

その回転の上がりの速さはフェラーリがライトウェイトスポーツを作ったならまさにこうなるだろうと思うほどタコメーターの針は注意しないといっきにレッドゾーンに飛び込むほどだ。

残念ながら形がよりスポーティな同時期の208GTBにはそういったメカニカルな配慮はされていないようで208gt4よりも明らかに重く、遅く、スポーツカー的な印象はまったくない。
一度でもキャブレターのフェラーリを運転した事のある方はあのキーンという独特なサウンドに魅せられたにちがいない。
このgt4にもフェラーリミュージックは健在で、3000回転くらいでクルージングしている時でもコックピットはあの甘美なサウンドで満たされる。
当時のアルファロメオと比べ、圧倒的にすぐれているのはハンドリングとバランスだ。FRとミッドシップとの差は歴然で、アクセルコントロールでノーズの向きが変わるのは少しでもスポーツドライビングに造詣のある方ならすぐにわかるはず。
コーナリング中に右足のアクセルの微妙な踏み加減でコントロールする醍醐味はスポーツカーならではの楽しみだ。
ラックアンドピニオンのステアリングもレーシングカーに比べれば、若干ダルなところもあるが、それはレーシングカーと比べればという話でキックバックもなく、乗りやすい。
といっても他の当時のスポーツカーと比較すると十分クイックでスポーツカーそのもの。
MOMOの革まきの細いステアリングから路面状況やタイヤと路面の接地具合がその言葉どうり手にとるようにわかる。

39年間を一人のオーナーの元で過ごし、2015年日本に弊社が輸入した車だ。
走行距離は53500km。輸入時の2年前にタイミングベルト交換を含むフル整備を実施済み。










日本はもちろん、本国イタリアでもこれほど美しいDino208gt4 に出会えることは非常にめずらしく、今ここに帰ってきたことをうれしく思う。
初期モデルのためフェラーリのエンブレムがいっさいつかないのもいい。


当時オプションだったエアコンが装備されるのも高温多湿な日本では実にありがたい。
現在ショールームに展示中。自分だけの1台をお探しの方にはこれほどふさわしい1台はないだろう。
オリジナルのだけのもつ美しさがこの車にはある。
by cavallino-cars | 2017-06-13 15:06 | Comments(0)