308GTBがデビューした時はボディはファイバーグラス製、バックライトはリアバンパーに埋め込まれていた。
エンジンフードもガスショックではなく、機械式のきわめてクラシカルなものが採用された。
その後、生産コストの見直しがされ、より廉価に製造できるスチールボディに変更。
バックライトはテールライトに埋め込まれ、エンジンフードのショックも油圧式になり、スペアタイヤも薄いものから標準で装着されるサイズのものに変更された。
同様にDino308gt4も初期モデルの74年にのみ採用されたものがいくつかある。
シート座面のフルアルカンターラ、
スペアタイアセクションのグラスファイバー製の、革で覆われたカバー、
アルミ製のキャップのつくウインドウウォッシャータンクなどだ。
Dinoのバッジ付きのホィールキャップがつくCROMODORA製のホィールはDinoの刻印がはいる。これは76年モデルまで採用される。
ドアのインナーパネルのドアポケット部分の内張りは74年モデルのみが無地のモケットを採用。
75年からは縦のステッチが入るようになる。
ドア内張りのドアポケットの内側と上のL字のステーは同色のアルカンタラになる。
75年の後期モデルからはシートもモケットとレザーのツートンが標準になり、
オプションとしてフルレザーシートも用意された。
フロントボンネット内のカバーもグラスファイバー製からプラスティック製のものに変更される。
フェラーリのバッジがつけれた77年からはエアコンの噴出し口がダッシュ下にも増設された。74年モデルでは助手席のダッシュポケット内に収容されていたフューズボードは下に移設され、ナビゲーターには圧迫感がました。
こちらは74年モデルの室内。
77年モデルからはドアパネルのポケット上のL字のステーもアルカンタラからドアパネルと同色のレザーに変更となる。
同時にフェースもFerrari 伝統のアルミのグリルに変更。ノーズにはプランシングホースがつき、
ホィールはホィールキャップなしのものに変更、
その後、308GTBと同じ跳ね馬のつく星型のものになる。いずれもコストダウンのための変更だ。
バンパーのウレタン部分は初期にくらべ肉厚のものに変更され、回りを囲むメッキのフレームの下の部分はバンパーで隠されるようになった。
これはフェラーリの証であるアルミのグリルをつけることにより、デザインを変更したためのやむを得ない変更だったに違いない。そのままの状態であのグリルをつけることになれば誰がみてもフロントのイメージは重くなる。
リア部分の変更はフロントの変更に追随するものだったのがわかる。
当時不評だったgt4の販売台数を増やすためにフェラーリ社の無理な要求を受け入れざるを得ない状況の中、ベルトーネはオリジナルのデザインを変更し、やむなくこのデザインの変更を行ったのだ。
今すべてのデザインを見比べてみると初期の74年モデルが最も美しく、ベルトーネの初めてフェラーリの市販車をデザインするという意気込みが感じられる。74年にマラネロを出荷されたモデルはおそらく400台前後で、オリジナルの状態で現存するものは100台にも満たないに違いない。5年前にヨーロッパから輸入し、現在、弊社で販売中のgt4はフルオリジナルコンディションを保つ。Ferrari のエンブレムをいっさいつけないこの初期のDinoモデルはその意味でも大変貴重でコレクターにとっては自分だけの1台として最高のgt4となるにちがいない。