スイスのパーツショップで以前308のオリジナルステアリングを購入。グリップが非常に傷んでいたため、革の張替えをお願いしてあったものが出来たので今回、引き取りに行ってきた。ミラノのからおおよそ2時間弱。スイス国境をこえて20分のパーツショップに到着したのは午前10時半。イタリアまでオリジナルのステアリングを持っていき、張り替えたもらったという。
スポークのおもて面にMOMOの打刻がしてあり、
その裏にはMADE IN ITALY と打ち込まれたハンドルが当時のオリジナル。
この打刻がないものもあるが、自分だけの1台につけるステアリングにはやはり出来ることならオリジナルにこだわりたい。
その他にはDinoのオリジナルのホーンボタンを2個購入。というか2つしかなかったのです。
黄色のDino の丸いボタンを囲むシルバーのリングがつくオリジナルだ。現在入手できるものはリプロダクションのものだけでリングが黒かったり、シルバーであっても極端に光っているメッキだったりするもの。このようなオリジナルは非常に貴重で、マーケットにでてくることはまずない。価格はあってないようなもの。
1つは8月5日に東京港に到着予定のブラウンメタリックの208gt4に取り付けようと思い購入。もう1つは弊社のストックとして購入。あった時に購入しないと手に入らないので多少高くても買ってしまいます。このパーツショップのオーナーは実際にお店に来ない人には売らないようで、海外からのメールの問い合わせには返事もしない。実際に行かないと売ってくれません。スイスまでの旅費を考えるととてつもない価格のパーツということになってしまいます。
しかしそれでもここまで出向く理由は、やはりオリジナルの質感はリプロのものとはまったく異なる重厚な手作りのよさがあるからです。自分だけの1台を少しずつオリジナルのパーツに換えていくのもクラシックカーオーナーの楽しみのひとつ。上の写真のステアリング中央の跳ね馬のホーンボタンをこのDinoのボタンに変えた時、もし自分がオーナーなら少なくとも1時間ほどは見入ってしまうに違いない。それほど貴重で多少大げさかもしれないが長年待ちわびていた人に出会えたような感動がある。他にいくつかのパーツを譲り受け、ローマに行く途中、bresia にある208gt4を見によった。
75年のこのgt4はオリジナルのホィールを装着。しかし初期型には装着されないバンパーと同じ幅のアルミのグリルがつき、208には本来ないスポットライトもついていた。
極め付きはリアトランクのカーペットがオリジナルでなかったこと。今まで何十台ものgt4を海外から譲り受けたが、トランクのカーペットがオリジナルでないものは1台も購入したことはない。やはりどのように扱われてきたかがクラシックフェラーリを購入する際、私には非常に重要で、なぜ交換しなければならなかったのかを常に考えてしまう。特に40年も前に製造された車に関して、どれだけ多くの部分がオリジナルかがその固体の価値を左右するといっても過言ではない。
東京のショールームに並ぶ私が輸入したgt4を見ると、イタリアではどれもこんなコンディションの車があると思われる方もたまにいらっしゃるが、ほとんどがこのBresia のgt4のようなものばかりなのです。当然購入はいたしません。
ローマに到着したのは午後8時。
フミチーノのそばのピゼリアへ。
ここは日本でいう葉山のようなところ。裕福な家の別荘エリア内にあるお店。
L'achetto というカジュアルなお店ながら、雰囲気はまさにイタリア。可愛らしいカメリエラにカラマリのフリットと白ワインとスカンピのリゾットをオーダー。従兄弟はピザマルゲリータを注文。どれも日本では楽しめない本場の味です。お店が混みだすのは午後9時ごろから。こちらはもうすでにバカンスシーズン突入です。
お店の前に停めてあるのはスマートかとおもったらどうやら違う。なんと50CC のエンジンを搭載する自動車。
ナンバープレートが普通の車よりかなり小さい。イタリア人の従兄弟に聞いたら、これは地元のお坊ちゃま用のもので、オートバイだと危険なのでその代わりに親が子供に乗らせているとのこと。15歳から運転できるそうです。最高速は50キロほど。高速への乗り入れは禁止。住宅付近の移動専用とのこと。子供の頃から車に乗れる環境は実に羨ましい限りです。
もう何十回とイタリアを訪れているが、来るたびにこの国が好きになってしまう。
ローマに住む従兄弟のおかげでイタリアの素晴らしい街並みや食文化、美しい歴史的な建造物や景色を数え切れないほど見せてもらった。
そしてクラシックフェラーリのオーナーと知り合うことは私の人生感をも変えてしまった。古いもの、美しいものを大切にし、愛する文化は素晴らしい。
そこに生きる喜びを見出すことこそイタリア人の力の源なのかもしれない。