先月カーマガジンの取材で西川さんに乗っていただいたGTBターボを試乗したが、どうも加速がいまひとつ本来のものとは異なる。排気漏れをしているような感じであの爆発的なパワーを感じない。
工場に持ち込み確認すると2番のプラグの電気のとびが弱いことが判明。
デスキャップを外してみるとご覧のようなクラックが入っていた。早速新しいものに交換すると本来の加速を取り戻した。
F40 とまではいかないがこの車を初めて運転するドライバーが首都高でアクセル全開にすればあまりのターボの加速に思わず右足のちからを緩めるに違いない。それほど劇的な加速をするのだ。現地イタリアでも同じような加速をするGTBターボは少なく、外観や内装がどんなにきれいでも本来の加速をしない車が多い。GTBターボは本当に固体差が大きく、実際に乗ってみないとエンジンのコンディションはわからない。エンジン不調の原因が今回のようなデスキャップだけのものもあれば、エンジン本体をオーバーホールしなければならないものもある。ウエストゲートはすでに欠品中でオーバーホールをするしかない。以前イタリアでオリジナルのウエストゲートがあるとのことで50万円ほどで購入したことがあった。しかし送られてきたものはオリジナルとは似ても似つかぬ社外品でGTBターボには使用できないものだった。ヨーロッパのパーツショップを巡り、ウエストゲートの内部のパーツを入手してオーバーホールを弊社では行っている。
何台かのウエストゲートを直したが、鉄板は錆で腐っており使用できず、その部分だけを作り直して修理をするのだ。実際に修理をしないとわからないことが多い車だが、完調なGTBターボはF40につぐ面白さがある。
個人的にはドライビングインプレッションとしてはあの288GTOさえも凌ぐように思う。
一度この加速を味わってしまうと短いストレートでもアクセルを全開にしてフルブーストの快感を何度も味わいたくなってしまう。久しぶりに箱根のターンパイクを走りたくなった。