GTBturbo の実力

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1980年代はイタリアでは、2000cc以下の排気量の車は税が優遇されていた。そのため2リッターのGTBターボはとかく328の廉価版という印象が強い。おそらくそれは82年にデビューした208ターボのインプレッションが大きく影響していると考えられる。
一世代前のターボはインタークーラーももたず、加給圧はわずか0.6バール。そのドライブフィールは当時のF1の126Cから想像されるターボの強烈な加速とは程遠いものだった。
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86年にデビューしたGTBターボは328の270馬力に対し、254馬力と若干パワーでは劣るが、その加速とトルクは328をも上回る。
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新たに装備されたIHI製の巨大なインタークーラーにより高温になった吸入空気をいっきに冷やすことで、圧縮比もトルクも前モデルとは比べられないほど向上する。
確実にF1での技術がフィードバックされている。
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Dino から308そしてGTBturbo と継承される左右の上部のサイドインテークは巨大なインタークーラーに外気を導入する。
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下のNACAダクトは一方がオイルクーラー、そしてもう一方がエアクリーナーへとつながる。
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一度でもGTBターボのステアリングを握ったことがある方なら、その強烈な加速に圧倒されるにちがいない。助手席に乗った同乗者はターボが炸裂するたびにシートが背中に押し付けられ、ドライバーのアクセルワークをいやでも手に取るように感じられる。
前モデルの208ターボと乗り比べるとその加速は比べようもないほど異なる。
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GTBturbo はF40 の暴力的な加速には及ばないが、それでもコーナー途中で不用意にアクセルを全開にするのは注意した方がいい。巨大なトルクにより後輪がグリップをうしなう可能性があるからだ。路面がウエットの場合は特に気をつけるべきだろう。
F40が発表される前は、当時のF1のターボエンジンの凄まじさを体感できる唯一のフェラーリだった。
ちなみに燃費は弊社のお客さんによると驚くべきことにリッター10kmほど走るとのこと。フェラーリのオーナーにとっても朗報に違いない。テスタロッサを売却して購入されたその方は半年で5000kmを走破するほど気に入っている。GTBターボから比べるとテスタロッサがトラックを運転しているようだという。それは私もまったく同感で、今の高騰した価格でテスタロッサを購入する気には到底なれない。
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あのターボ独特の胸のすくような加速を楽しみながら、ビルヌーブやピローニに思いをよせるのもいい。
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F1のレギュレーションでターボが禁止となった89年のシーズンでGTBターボの生産は打ち切られる。
生産台数わずか308台のGTBターボにはF1の歴史が刻まれている。
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そのGTBターボの生産終了の年にターボの最終モデルとしてF40 が発表されるのだ。

  by cavallino-cars | 2016-02-02 13:33 | Comments(0)

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