年の瀬に思うこと

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クリスマスムードで華やぐ12月14日の夕方、母が自宅の側で転倒し、救急車で運ばれた。診断の結果は左右のあごの付け根の骨折と右肘の骨折。他に前歯を3本損傷。顎と唇の内側を3針も縫う怪我。
右肘の骨折は手術しても、しなくともまっすぐに腕が伸びることはもうない。それよりも高齢のため麻酔のリスクが大きいのでそのまま骨がつくのを待った方がいいとのこと。顎の付け根の骨折は処置のしようがなく安静にして骨がつくのを待って、1ヶ月後から口を開けるリハビリをするそうだ。
当日は肘にあて木をされ自宅に帰った。翌日朝の8時半から夕方8時まで病院で診察をうけ、入院を希望したが、部屋のあきがなく、たとえ空いていても、腕の骨折は入院しても安静にしているだけで処置はいっさい必要ないとのこと。高い入院費用を払うのより、どこか受け入れてくれる介護つきのホームを見つけたほうがいいとのアドバイスをうけた。
ちなみに肘と顎の骨折ではリハビリ施設での受け入れも不可能とのこと。足などの骨折がないと国の指導で入所ができないのだ。
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母は5年前に大たい骨の手術をしてからオムツを使用している。今回の怪我で右手が使えないので脱ぐことさえできない。トイレの世話を初めてした。
身寄りのない老人はこんな時どうするのだろう。
食事も歯が折れたために流動食しか食べれらない。食事の介助、トイレの世話の合間に介護つき老人ホームを6件ほど見た。どこも入居金がおおよそ1000万円以上、毎月25万円ほどの費用がかかる。入居金を入れない場合は毎月の費用はおおよそ40万円から50万円ほど。廉価なものでも30万円ほどはかかる。
それでも近くの施設は入居希望者が4人ほど待っていてすぐには入居が難しい。
施設長が30歳ほどのホームもあり、施設長みずからが、介護の仕事をしているところさえあった。
オリンピックを1兆円以上もの費用をかけて行うのなら、その税金をこのような福祉施設の充実に回すべきと思う。
たった数週間の感動でホームにいる方や入居を待つ人や介護に忙殺される家族は癒されるのだろうか。
今こうしている間にもトイレの世話や食事の介護で疲れ果ててる人が大勢いる。
豊かさとはなんだろうかと年末の華やかな街並みをみながら考えてしまった。

人はいずれ老いる。今あたりまえにできることが出来なくなる日が必ずやってくる。

これから介護を必要とする人は確実に増えていく。その受け皿の施設は足りず、介護士も不足する。病院のベッドもオリンピックまでにはかなりの数が足りなくなる。低所得者に一律3万円を払うのもよいかもしれないが、トイレも自分で行けない人たちや本当に介護の必要な人たちに手を差し伸べるのが急務ではないのだろうか。
オリンピックが悪いとはいわないが、他にするべきことがもっとあるのではと思う。ラグビーのように他の国で行ってもスポーツは感動を与えてくれる。

介護を苦にして、妻や両親とともに命をたつニュースを見るたびに今、何が本当に必要なのかを考えさせられる。華やかな街の裏側では大変な現実と向き合っている人たちが大勢いる。
介護の大変さは実際に経験してみないとわからない。
自分とは無縁と思っていても、突然その日はやってくる。

来年がいい年になるように心から思う。

  by cavallino-cars | 2015-12-31 23:38 | Comments(2)

Commented by ビアンコ308QV at 2016-01-01 15:11 x
お母さまのこと、大変でしたね。
私にも老母がいますので、心中よくわかります。
遅かれ早かれいずれはくることですから。
なにはともあれ、今年もよろしくお願いいたします。
Commented by cavallino-cars at 2016-01-07 17:06
コメントありがとうございます。介護の大変さを実際に経験して初めて知りました。老人ホームはたとえどんなに豪華であっても基本的には現代の姥捨て山の感はいなめません。昔は兄弟が多く、だれかが面倒をみてきたのでしょうが、現代では専業主婦の数は減って、共働きの家族が多く、少子化がすすんでいます。これから将来、私たちが老人になった時を思うと本当の豊かさとは何かを考えさせられました。
そう考えるたびに人生好きなことをやって生きるのが一番だと思います。人に迷惑さえかけなければ、乗れるときに好きな車を楽しむのは決して贅沢だとは思いません。生涯大切にするような自分だけの1台をみつけられれば最高ですね。

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