
今年の4月にイタリアから譲り受けた77yの308GTB が昨日正式に日本での新しいオーナーが決まった。
オーナーはクラシックカーにも造詣がある。モダンカーはマクラーレン640とフェラーリカリフォルニアを所有。

私と試乗をされた時にまるでクロードルルーシュのショートムービーのランデブーを見ているようだとおっしゃった。その映像はこちら。
試乗は首都高速なのでこのように危険きわまる運転はしないが、シフトダウンのヒールアンドトウやシフトアップのサウンドは実にこの映像に近いものがある。308には12気筒のBBや512TRにはないスポーツカーとしての楽しさに溢れている。

12気筒フェラーリはその堂々たる形には魅せられても、

いざ運転すると大きさや重さがスポーツカーとしての楽しさを半減させてしまうのだ。

アクセルにリニアに反応する応答性のよさやコーナーでのアクセルコントロールでノーズの向きを簡単に変える楽しさは軽く、バランスのよい308に優るものはない。唯一Dinoがハンドリングという点では同列に並ぶが、その動力性能は圧倒的に308が上をいく。

以前Dino と308を両方所有されているという方とお話しした時に自分のDinoは308よりも格段に速いとおっしゃっていた。所有されている308が北米仕様か、ヨーロッパ仕様であってもコンディションがあまりよろしくないものに違いない。

それほどその動力性能は308が優っている。
ヨーロッパ仕様の246gtと246gtsの2台を乗り継いで来た私の経験でもその差は歴然だ。

特にシフトフィールはDinoのヌメっと入る感覚に対し、308は12気筒フェラーリのようにカチっと入るのもいい。

さすがに246に比べ車重が重い分だけヘアピンなどの切り替えしのハンドリングでは246に軍配があがるが、圧倒的な立ち上がり加速はくらべようもなく全体としての操縦性は308が格段にリファインされている。

77年にマラネロを出荷され、その生涯のほとんどをイタリアで過ごしてきたこの固体はマクラーレンのような現代のモダンカーに比べその動力性能は比べようもないが、スポーツカーを運転するというか、コントロールするという意味の楽しさでは一歩も劣らないばかりか優っている。

自分だけの1台とう意味でこれほど素晴らしいスポーツカーは他にないのではなかろうか。

今でもクラシックフェラーリの高騰は続いているが、近い将来、12気筒のBBやデイトナなどの評価を308が上回る日が訪れるのではないかと思う。快晴の秋晴れの空の下、アクセル全開でワインディングロードを走らせればこの車のキーを一生返したくなくなるに違いない。それほどこの1台は見て麗しく、乗っても実に楽しい。