この5年間で輸入したファイバーグラスの308は計7台。その内訳は1台は英国から

雪の降りしきるジュネーブ空港から30分ほどのスイスから

そしてイタリアのトリノから

これはベローナのコレクターから

こちらはモデナから車で1時間ほどのルッカからの1オーナーカー

これは同じくイタリアのパビアからの1台で国内に持ち込んでからフェラーリクラシケを取得済み。


そして最後の1台はフェラーリ本社から譲り受けた特別な1台。

その購入ポイントのいくつかをご紹介します。

まずはフロントのアルミグリルのチェック。

歪みのあるものや左右のはじがボディからとびだしている写真のようなものは事故をおこしている可能性があるので極力さけます。
エンジンルームをみてドライサンプでないものもNG。

後ろから見て左側にオイルのリザーブタンクがあるものがオリジナルです。シングルデスビのものだけを選びます。

リヤのテールライトはSIEM製のものがオリジナル。スチールモデルになってからはCARRERO製のものになります。こちらもオリジナルにこしたことはありません。

308のエンブレムはプラスティック製ではなくスチールのものがつくのもファイバーモデルの特徴です。

フロントのスペアタイヤセクションはアルミ板をビニールレザーでくるんだカバーがつきます。

中にあるスペアタイヤは薄いテンパータイヤがオリジナル。スポーツカーは前後を軽くすることでその操縦性が向上します。そんなこだわりもフェラーリならではでしょう。

リアのトランクもシボの入ったビニールレザー製のオリジナルを選ぶ。

マフラーはシングルパイプのものがベストです。

今ではりプロダクションモデルのシルバーのものもでていますが、オリジナルはこの銅色の鉄製のものです。

ドアのウエザーストリップはすべて布製のもの。

ゴムのものがつくのは308のスチールボディの後期のモデルになってからです。ウィンドウフレームは艶消しの塗装がされます。スチールボディになってからは艶のある塗装に変わります。

エンジンフード裏にはすべて網が一面にはられているのがオリジナルです。

スチールボディになってからはエア抜きのダクトの部分のみにつけられるようになります。




スピードメーターはすべてダブルレターのものがオリジナルです。


距離計の数字もタイプライターのような細い数字が特徴。

ヘッドライトはファイバーの初期モデルのみが一体型になりますが、

同じファイバーでも後期モデルはすべてライト上の部分に写真のようなカバーがつきます。
おそらくコストの削減によるための変更でしょう。

リアのナンバーのつくパネルはフラットなのがファイバーモデルの特徴。ナンバーの形にへこんだものはスチールボディになってからのものなので避けます。

ウインドウウォッシャータンクはスペアタイヤの前に青いビニールバッグタイプのものがつきます。
唯一ことなるのはフィオラバンテ氏のために特別に作られたものだけ。

後期のスチールボディにつくポリタンク型のものが装着されています。

エンジンフードを開けるとリアパネルが8つのネジでトランクの後ろでとめられているのもファイバーの特徴。

エンジンフード裏には左右ともにフックがついており、簡単にエンジンフードを取り外せるようになっています。
ここまでチェックをした後に初めて試乗をします。

308の一番の楽しさは何といってもV8キャブレターエンジンのレスポンスのよさにつきます。

何百台もの車を乗ってきた経験から少し走っただけでそのコンディションがわかるようになりました。軽く回るものや重いもの、走らずともレーシングしただけでその違いがわかるものもあります。

キャブレターのエンジンはよほどのことがない限り調子を取り戻すことは可能です。一番みるのは事故をおこしていないか、どのように治しているか、どのようにメンテナンスをしてきているかなどです。オリジナルと異なるパネルがついていたり、ウエットサンプのエンジンが載っている様なもの、

ボディコンディションの良くないものはどんなに調子よくても買うことはありません。もっとも今まで見てきたファイバーでそのようなコンディションでエンジンの調子のいいものは一台もありませんでした。
ハンドルも太い、小径のものに変えられているようなものもNGです。

ボディの多少のクラックなどはあまり気にしませんが、オリジナルでないパーツがついていたり、ダッシュが張り替えられているようなものは買わない方がいいでしょう。

今やパワーウインドウが壊れた時のエマージェンシー用のレバーを入れる穴のカバーでさえ、見つけることは困難な時代です。

キャブレターの308は運転する悦びを与えてくれますが、同時にオリジナルであればあるほどその美しさは際立ちます。

自分だけの1台としての価値は今風のハンドルをつけたり、ウイングをつけることではなく、オリジナルの美しさを保っていてこそ、その価値があると考えます。

その意味で当時のものを知ることは実に重要で、オリジナルでないところを承知で購入するのはいいですが、買ってしまった後で自分の車のおかしいところがわかって後悔するようなことは避けるべきでしょう。当時のままの状態でもキャブレターのセットアップがきちんとされていればその動力性能やハンドリングは素晴らしいの一言につきます。
当時のファイバーの308は12気筒の365BBや512BB は言うに及ばず、275やDaytona と比べてもスポーツカーという意味でそのスポーツ性は突出しています。
信じられないという方は一度弊社のGTBに乗っていただければわかるはずです。

40年も経過している車なのですべてがマラネロ出荷当時のままの状態であるという固体はないでしょうが、

自分のガレージには出来るだけオリジナルの状態のものをおきたいものです。