Bresia の208gt4

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ブレシアのDino208gt4 は個人のコレクターの所有する車。自宅に伺い、早速外にだしていただく。
購入してから20年ほどになるがほとんど乗っていないのとのこと。
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内装はハンドル以外はすべてオリジナルだったが、外装の塗装の状態がよくない。
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フロントフェンダーには細かい気泡のような浮きがあり、
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左ドアパネル、リヤフェンダーには細かいクラックが入っている。
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リヤトランク左のフェンダー部分には浮きもあり、
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リヤタイヤハウス下にはクラックも。
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左後ろには何かにぶつけ、タッチペイントの跡もある。
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ヘッドライトを覆う黒のプラスティッィクカバーもネジの部分が左右とも割れている。価格は58000ユーロ。日本に輸入してからオールペイントをするとなるとざっと200万円以上はかかる。さすがに原価で1200万円となると輸入するのは断念せざるをえない。アッシジでみる予定だった黒の208gt4は残念ながら私が伺う前日に売れてしまった。
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翌日ローマでみた208gt4はフロントのシートはヘッドレストと左右のサポートが切れているため補修中だったが、フロントバンパーは何かにぶつかったのか中に押され、ヘッドライトもポップアップしない状態。
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内張りのポケット上のL字のステーはビス止めされ、
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極めつけはエンジンヘッドが真っ赤に塗られていた。マフラーもシングルパイプでないものがつく。塗装も厚塗りの上に細かい傷だらけでひと目見ただけで買う気が失せてしまった。
コンディションのよいgt4はどこにあるのだろうか。今回はすべてNGのものばかり。大切にされてきた車は壊れたまま放置されていることはほとんどない。どんなに美しくてもオリジナルでないものはクラシックとしての価値が極端に下がると考える。
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こちらはスイスで売られているフルレストアされた74年のdino308gt4。現地での価格は119000スイスフラン。1470万円。
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オリジナルのgt4を知らない人ならその美しさに惑わされて購入してしまうかもしれない。しかし初期型のgt4は角のたった薄いラバーバンパーがつくが、
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この車には後期の肉厚のものがつく。
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ドアの内張りのライトも初期型のメッキフレームの角ばったものでなく、これはメッキフレームでないノンオリジナル。ちなみに初期型のドア内張りのL字のステーはモケットのシートには革ではなくスエード製がオリジナル。
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トランクルームのカーペットもオリジナルではない。ちなみにリアのバンパーは角のたった当時のオリジナルがついている。
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ルーフの内張りもノンオリジナル。
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美しいエンジンルームはよく手が入ってはいるが、イグニッションコイルは他社のものがつく。どんなにきれいでもこのようなものは自分のガレージには納めたくない。40年前にマラネロを出荷した時の状態をできるだけ保っているものにこそ価値があるのです。
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246Dino はほとんどの車がシートは張り替えられ、シートベルトもオリジナルでなく、上のスイスでレストアされているようなものが9割。さらにひどいことにはエンジンがその本来の性能を発揮しているものが少なく、運転してもぼそぼそとしか加速しないものが多い。
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その意味でもDinogt4はまだオリジナルのものが捜せば現存している。よいものがあれば是非とも日本の方にご紹介していきたい。それほどこの車は素晴らしい。テスタロッサやBBに比べてはるかにスポーティで運転する楽しさに溢れている。それにあのクラシカルなボディがついてくるのだから他に何を望もうか。
イタリアでも今や308gt4は10万ユーロ、308GTBのファイバーモデルは20万ユーロもする。しかし以前のようにすぐに売れることはなく、半年ほどその動きはほとんどない。たとえ高価でも本当に良いものであれば、購入する気にもなりますが、これっという1台にめぐり合わない限り、やはり欲しいという気にはなれないのです。状態のよいクラシックフェラーリはオリジナルだけのもつオーラというか、独特な輝きを放つ。

208gt4も308gt4も10年前は廉価だったために荒れているものも多い。しかしオリジナルコンディションで大切にされてきた美しい車も数は少ないが必ずある。いつか良いものと出会えることもあるでしょう。
その日まで私のヨーロッパ詣では続きます。

  by cavallino-cars | 2015-09-14 17:19 | Comments(5)

Commented by 308ファン at 2015-09-15 17:36 x
いつも興味深く拝見しています。
レストアの趣向についてですが、手を入れるついでに後期モデルの
パーツにグレードアップ、とか、元より良い素材の使用や、オリジナルには望めない丁寧な細工をする、というのは近年まで良しとされていたと思いますが、いつ位から情勢が変わったのでしょうか?

ディーノの現存車でオリジナル性が低いというのは、昔のセンスでレストアされているからだと思います。
こういう変化は旧いオートバイの世界の価値観でも存在し、私の好みの考え方です。これが主流になるとは言いませんが、昔よりも広がってきた考え方だと感じています。
Commented by cavallino-cars at 2015-09-16 12:07
確かにそういう考えもあります。駆動関係や電気関係でのグレードアップはありえますが、たとえば308gt4の初期型に後期型のバンパーをつけるというのはグレードアップとはいえません。246に関してもシートベルトを現在のモデルのようなものに交換するのは単にオリジナルのパーツが入手困難なためです。今のセンスでレストアしたものを否定するつもりはありませんが、レストア前の状態がわからないのが問題だと考えます。246はボディは錆びだらけでシートもボロボロのものが新車のようにレストアされた車を何台も見てきました。その意味でもオリジナルに私はこだわります。数十年もオリジナルのコンディションを保ってきた車はそれなりに扱われてきた証と考えます。
Commented by 赤いシートカバー at 2015-09-16 23:40 x
私が246のフルオリジナルを知らないからでしょうが、246の内装レストア車はきれいだとしかおもいませんが、gt4のレストア車はオリジナルとの違いに違和感を感じます。蓮実さんのブログのおかげで目が肥えてきました。(笑)いずれにせよ、オリジナルを知っておくことは購入するうえで大きな判断材料になりますね。
Commented by 308ファン at 2015-09-18 17:09 x
なるほど、いわゆる未再生原型(オリジナル)と
オリジナルに忠実なレストアと、自由な概念のレストアと
三様に分かれるわけですね。

未再生原型が希少で、掛けがえがないというのは納得です。
246の未再生は無いけれど、308なら弄られていないのがある、
ということですね。じつに魅力的です。
Commented by 赤いシートカバー at 2015-09-19 20:52 x
もう6年以上前の話ですが、まだ308シリーズが今ほどの再評価をうけていないころ、雑誌の特集で308は328に比べて荒れた個体が多く、かといってしっかりコストをかけてレストアするほど246ほどの評価はうけていない、という記事があったと思いますが今思い起こせば非常に興味深いです。
蓮実さんがおっしゃるオリジナルを保った個体はそれなりの扱いを受けてきた…というお話の意味がわかる気がします。

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