
6月7日、快晴の東京の空の下、イタリアはミラノ郊外から来た、Fiat Dino coupe でゴルフ場までいくことに。
前日に降った夕立のせいか、早朝は快晴だが、湿度は低く肌寒いほど。まるでこの車の故郷イタリアのようだ。

キーを回し、キャブレター独特のセルを長めに回して初爆をまつ。5秒ほどでFerrari 社製、V6Dino エンジンは目をさます。1000回転ほどのアイドリングは安定しており、コックピットを離れてもエンジンは止まることもない。
大きめのウッドのステアリングは低速ではそれなりに重いが、フェラーリの12気筒のように切り替えしで汗が滴り落ちるほどではない。

窓を開けると風が心地いい。まるでカリフォリニアかハワイを走っているような気持ちよさ。
高速に乗るとDino エンジンはその本領を発揮する。慣れ親しんだフェラーリと同じシフトノブがつくのはDino クーペでも2.4リッターのこのモデルのみ。シフトパターンも2リッターのものが左上が1速なのに対し、この2.4リッターのものはフェラーリと同じ、左下が一速となる。

それもそのはずで2.4リッターモデルはクーペもスパイダーもモデナのフェラーリ工場内で生産された。

4速、4000回転でスピードメーターは100kmをさし、右足を少し踏み込んだだけで12気筒のディトナや275を彷彿とさせるエキゾーストノートを響かせ、あっという間に制限速度を超える域にたっする。

1971年製のこの美しい2.4リッターのクーペのデビューは1969年。
あの246gtと同じ180馬力のエンジンを積む。246に比べ、よりトルクフルに感じるのはそのギヤ比のせいかもせしれない。右足のアクセルを踏む足に即座に反応するエンジンはフェラーリそのもので当時のクーペモデルでは最速の1台だったにちがいない。
ウッドのステアリングや木製のメーターパネルも実に味がある。

メーターは左から回転系、水温計、油圧計、油温計、その下に時計、ガソリンゲージを備え、右端にスピードメーターが配置され、視認性は非常によい。
ほんの少し右足に踏み込んだだけでメーターの針が上がるので速度超過には注意が必要だ。

早朝の水温は90度に安定。ゴルフを終え、帰宅する午後の3時の炎天下でも95度を越えることはなかった。
一見地味に見えるこのスタイリングは見れば見るほど、実にエレガントで60年代後半の美しさに溢れている。

モダンカーにはないメッキモールの美しさやモケットシートの座り心地のよさ、ヘッドレストの高さも実用的で、リヤシートも家族4人で移動するのに十分な空間がある。

gt4もそうだが、リヤシートは簡単な荷物を置くにもあった方が大変便利なのだ。

フェラーリの12気筒モデルよりはるかに乗りやすく、フロントには246Dino のエンジンを積むこのスポーツクーペがイタリアで一人の声楽家に20年以上もで愛され続けた理由がわかる気がする。
現在ショールームに展示中。