
2012年5月、北イタリアのベルガモから譲り受けたDino208gt4 を初めて見た時の印象は今でも鮮明に覚えている。

ミラノのオーナーの元で20年以上を過ごしたこの車は実に美しく、とても75年にデリバリーされたものとは信じられないほどのコンディションだった。

今までみたどのgt4よりも美しいといっても過言ではない。208gt4は308よりも小径の34のWeber 製ダウンドラフトのキャブを4基備えた170馬力のV8エンジンが搭載される。1975年から1980年までの6年間に840台が生産された。

フロントにはDino のエンブレムがつき、

ホィールセンターにも当時のオリジナルのDino のキャップが装着され、どこにもFerrari のエンブレムはついていない。

さらにマニュアルやマニュアルケース、

ASIのゴールドプレートまで揃う固体は今では非常に貴重なのだ。
快晴のマントバの田舎道を246Dino のような軽快な排気音を響かせて、走り回った記憶を昨日のように思い出す。

日本に輸入してから20代の若きフェラリスタのガレージに2年ほど住み、昨年関西のオーナーの元へ移り住む。オドメーターは日本に着いてから1万キロを刻み、現在の走行距離は47000キロとなり、再び私のガレージに戻ってきた。

初期型ならではの前面スエードのシートやフロアマットは生産されてからの年月が信じられないほどの美しさだ。そのすべてがオリジナルで、これほど素晴らしいコンディションのgt4に出会うことはこれからもないだろう。

トップエンドまで軽やかに回るエンジンは2リッターならではで、ライトウエイトスポーツに近い。
308と比べるとさすがにトルクはないがトップエンドまで澱みなく回るエンジンはまさにフェラーリと呼ぶにふさわしい。ハンドリングはレーシングカーを運転しているようなシャープさだ。
この仕事をしていなければ個人でそっとガレージにしまっておきたい。
こんなgt4との出会いは私が生きているうちにあるだろうか。
マニアにとってばこれ以上ない1台が再びマーケットにでることになる。