458 と 308、どちらを選ぶか?

来月入港するスチールボディの308GTB の2050万円よりも240万円ほど高いがほぼ同額。
どちらを自分のガレージにいれるかはかなりまようところ。


コーナーのクリップを抜けたところで間髪いれずにアクセルを踏めば、恐ろしいほどの勢いでノーズを上に向け、1380kgのアルミ製のボディを578馬力のパワーでジェット機のような加速をする。
これほど痛快なスポーツカーはマクラーレン以外にはないだろう。

458のモダンなレーシングカーのようなコックピットにくらべ、スポーツカーならではの雰囲気にあふれている。
アナログなメーター、光沢のあるシフトゲート、メッキのスイッチ類など、手作りならではの美しさに囲まれ、長めのクランキングの後、フォンと目覚めたV8エンジンの心地よい音はキャブならではだ。

458のブレーキを踏み、イグニッションをオンにして、STARTと書かれた赤いボタンを押してエンジンを始動させ、電動のパーキングスイッチを解除し、ウィーンという解除音を確認し、パドルを手前に引いて1速にいれるのとは全く異なる。


時代の流れといってしまえばそれまでだが、随所にその違いが見うけられる。

そのポテンシャルはこの車が40年前に作られたことを忘れてしまうほどで、


その楽しさは格別で、昨年308を弊社から購入したお客さんに、さらにもう一台308を購入させてしまったほどなのだ。ちなみにその方はF40 も所有されている。
それに対し458はあまりにも高性能なため、一般道でドリフトするような運転はプロのドライバーでなければ難しい。圧倒的な性能差という意味では308は劣るが、操縦する楽しみは優るとも劣らない。
458は車の知識もない、免許をとったばかりの女性でもその気になれば運転することができるほど寛容だ。
しかも真夏の炎天下でも室内は優れたエアコンのおかげで快適に保たれる。

もっとも大きな違いはそのデザインだ。エンジンはパワーの差こそあれ、どちらもフェラーリの名に恥じないほど素晴らしい。
しかし年々厳しくなってきた安全基準のためにボディの形状はデザイナーの意図とは別に変更せざるをえなくなった。

その他、製造コストの削減のため各パネルは小さく細分化され、出来る限りコストのかからないような形や材質に変更を余儀なくされた。




今の技術をしても当時の308を作る事はむずかしい。当時の美しいラインをたたき出す、熟練の職人はすでに引退したり、他界している。
安全基準などの厳しい規制をクリアすることも難しい。

それはあの美しいBBを想いおこさせはするが、

美しいクラシックフェラーリを再現するには莫大な費用がかかる。そればかりか自分の思い描く、かつてのフェラーリを今や作り出すことは不可能な時代となった。

by cavallino-cars | 2015-05-11 13:46 | Comments(2)

思春期に構築された価値観は生涯変わらないものだな、と何かにつけ感じている50歳代半ばです。
もはや公道の絶対速度には興味のないワタシにとって、またフェラーリを普段使いする身でもないので、今「どちらを買うのか」と問い詰められれば308になりますね(笑)。
しかしこの1年間でのフェラーリの高騰には驚くばかりです。
次の1台のころまでには手が届く範囲になっているでしょうか、、?