明けましておめでとうございます。
今年は308をはじめとするイタリア車を紹介させていただく私にとって円安とヨーロッパでの価格の高騰というきびしい環境の中の幕開けとなりました。
年が明けてユーロは4円ほど円高にふれましたが、一時期の100円にくらべれば、円安基調はかわりません。
2011年5月にFioravanti 氏から愛車の308GTBを譲り受けた際、必ずこの車は近い将来、価値がでるので大切にして欲しいという言葉が4年後に現実のものとなった。
5年前にgt4に魅せられた頃は今と状況はまったく異なり、gt4が600万円、
GTBやGTSが750万円で納車できた。
サラリーマンでも少し頑張れば手が届く価格で、イタリアの最高のスポーツカーを楽しんでいただきたく、輸入を始めた。驚くことにそれらは当時のフェラーリ社の製造する430や599とは異なる運転する楽しさ、車をコントロールする悦びに溢れている。
70年代ならではの秀逸なデザインはエレガントそのもの。速さを追求したモダンフェラーリとは一線を期す美しさとヨーロッパ仕様のエンジンの素晴らしさは今乗っても十分新鮮だ。
今や308GTB のファイバーグラスは現地でも2000万円、スチールボディでさえ1150万円にも高騰。もはや手が届かない価格になりつつある。
新年に308に乗ったが、あの背中をシートに押し付けられるようなキャブならではのシャープな加速、
キーンというジェット機のようなエンジン音、細いステアリングから伝わるタイヤと路面との接地感など、その魅力は色あせることがないばかりか、乗るたびに魅了されずにはいられない。
狂ったようにとばした後で、見る愛車のなんと美しいことか。エンツオがスポーツカーは速く、美しくなければならないとう名言そのもの。さらに付け加えさせていただければ、運転して楽しくなければならないということ。
この3つをすべて兼ね備えている車は非常に少ない。
ヨーロッパには古いものを大切にする文化がある。
自宅には何百年も前の家具や
銀食器などがいまだに使われていたりする。
ローマに初めて行った時にみた、荘厳な建築物や美しいビーナス像など、
美術館のような街並みに圧倒された。
それらに共通したイタリア人のみが作り出せる美しさは70年代のフェラーリやアルファにも溢れている。
オートメーション化された工場でではなく、手作業でしか出来ない美しさ。
東京の丸ビルや虎ノ門ヒルズとは違ったコロッセオなどの時代を超えた建造物は何時間みていても飽きない。クラシックフェラーリのある生活は生活さえも豊かにしてくれるというのは大げさだろうか。
今でも私の輸入した車を乗るたびに譲り受けた国やその美しい街並み、そしてその家族の姿が鮮明に浮かぶ。
ヨーロッパで何十年も走り続けてきた1台が自分のガレージにある感動は特別だ。
イタリアはもちろん、英国、ドイツ、フランス、ハンガリーやベルギーなど様々な国から日本に輸入した車たちはどれも魅力的で自分のガレージに置いておきたい車ばかりだ。
ガレージで年代もののスコッチを片手に愛車をみながら、
その国に想いをよせるのもいい。
素晴らしいコンディションの自分だけの1台となる車だけを今年もお届けしていきます。
賀正