自分だけの1台

自分の予算を決め、その範囲で最も魅力的な1台を選ぶ。
学生時代に選んだ最初の車はFiat X1/9 。次はアルファロメオ2000スパイダー。就職して初めて買ったのはロータスエスプリ、その後フェラーリ308gt4を購入し、禁断の世界に入っていく。

その後フェラーリチャレンジというレースを経験し、車をコントロールする楽しさを覚えた。
以前はそのスタイリングや音、コックピットの雰囲気で愛車を選んできたが、ハンドリングやバランスの良さなどが愛車選びの大きなポイントとなっていく。


現代の458やマクラーレンではその限界が高すぎて、とても公道でそういった運転は出来ない。
リスクが高すぎてしまうからだ。


しかもその遊びのないステアリングの感覚はスポーツカーそのものでレーシングカーにもつうじるほどソリッドなのだ。
キャブレターならではの独特なシャープな加速とそのサウンドも魅力に溢れている。
デイトナのようなどこまでも加速していく、シンフォニーのような音はしないが、アクセルに連動した弾けるようなサウンドは鳥肌がたつほど素晴らしい。開発に携わったニキラウダや308を所有していた ジルビルヌーブやレガツォーニも同じ気分だったに違いない。電子制御でコントロールされたモダンカーにはない世界だ。







現在投資の対象となり、値上がりしたとはいえ、308はDino246 よりははるかにリーズナブルだ。

もうその価格では売る人はいても買う人は非常に少ないと考えられる。

ロックしたままドアノブをひくとワイヤーが伸びてレバーが戻らなくなるなる等の小さなトラブルもある。軽いライトウエイトのようなエンジンも魅力ではあるが、トルクとパワーに勝る308のエンジンを一度味わってしまうと物足りなくなってしまうのだ。


前述したように車の楽しさはスポーツカーとして車をコントロールする楽しさだけではない。運よく私はレースをすることができたおかげでその楽しさを知ったが、ほとんどの一般の方はそのスタイリングや音、雰囲気などで購入するのだろう。
しかしながらレース経験のない246を売却して308のファイバーボディをご購入していただいた方にどちらがいいですかとお聞きしたところ、今の308ですねと即答された。アクセルのふみ加減に即座に反応するエンジンに魅せられているという。あのひらひらとコーナーを抜けていく軽やかな Dino のハンドリングに優るほどそのエンジンは素晴らしいのだそうだ。まさに同感であきっぽい私がいまだに魅せられ続けている。

それぞれ素晴らしい車ですが、何を求めるかでどの車を選ぶかを決めるべきでしょう。
高ければいいとは限らないからです。今や1億円もするLusso は実に美しいGTですが、スポーツカーとしては私にはもの足りません。
何台も所有できるような幸運な方もいらっしゃるでしょうが、どれか1台とお考えの方にはそれぞれご自分で運転して、または同乗させていただいてから決めるのがベストでしょう。
これからいくら値上がりするかという胸算用で買うのは悲しすぎます。
人生は一度きりです。振り返れば楽しい時間はあっという間に過ぎていく。フェラーリを買ってほとんど乗ることなく10年後に1億の利益を手にする人生と、自分でステアリングを握り、ワインディングを思いっきり駆け抜けた思い出多きスポーツカー人生のどちらが幸福でしょう。後者のようなお客さんがいる限り、いいものだけをヨーロッパから紹介し続けていきたいと考えます。
by cavallino-cars | 2014-12-10 20:25 | Comments(1)