
8月の海外出張中にオリジナルの40パイのウエーバーキャブレターに交換されたベルギーから譲り受けたgt4のロードテストが雨のために出来ずに気になっていた矢先、先週の木曜に神奈川県から夕方お客様が来店された。

今年の春まで73年のポルシェ911Sをお乗りになっていたが、欲しい方がいたのでお譲りしたとのこと。
gt4には乗った経験はないというので、ロードテストをかねて首都高に向かった。

一回り大きなキャブの時に気になった中速からフルスロットルにした時の若干の息つぎももはや皆無で、トップエンドまできれいに一気に吹けあがるエンジンはフェラーリそのもの。
ついついペースをあげてしまう。
コーナー進入後にクリップでほんの少しだけスロットルを戻すとノーズがすぅーと内側に入るバランスの良さはミッドシップのフェラーリならではだろう。

京橋インター先のレフトベントで少々オーバースピードで入りすぎて、テールが流れたが、軽いカウンターとスロットル調整で簡単に立て直せるのもスポーツカーならではの醍醐味だ。
308gt4を初体験されたお客さんにお聞きしたところ、ここまでいいとは思わなかったとのこと。
34年前の車をこれほどとばせるのも驚きだったとの感想。
ショールームでカフェを飲んでいる時も助手席でのフィールが蘇ってくるようですともおっしゃっていました。
まさに私が初めて英国で助手席に乗った時と同じ感想です。
ポルシェとはことなるダイレクトなアクセルレスポンスとミッドシップならではのバランスのよさがこの車の真骨頂。
いかがですか?とお聞きしたところ、実はガレージから車を出した時からもう買うことを決めていましたとのこと。

それほどコードネームF106 と呼ばれるエンジンは素晴らしい音色を奏でる。

古い車にしかない味わいとスポーツカーとしての実力を兼ね備えた308gt4はいまだに私を魅了し続ける。

コックピットに座り、細いステアリングを握った時の高揚感は実際にこの車を運転した者でなければわからないだろう。

ヨーロッパの街を走ってきた1台が自分のガレージにあるということもいっそうこのgt4を魅力的にしているのかもしれない。

これほどエレガントで乗って楽しい車を私は他に知らない。
S様ご購入ありがとうございました。