アンコナの5000kmのGTBターボを見に行く予定だったが、直前になってGTSということがわかり、中止。
心待ちにしていたTさんすいません。
予定を変更してベルギーの2台の308GTBを見に行くことにした。
午後9時の飛行機を予約し、ブリュッセルに着いたのは午後の11時半。

空港のシェラトンに泊まり、翌朝、空港から10分ほどのDassel氏の経営するディーラーに向かう。
何とオーナーは2002年私が出走したモナコヒストリックにモノポストのレーシングカーで参加していた。

monacoクラスのレースをする人の車は間違いなく信用できるはず。

77yのこの美しい308GTBはこのベルギーの工場でフルレストアされたもの。
マフラーはもちろんシングルパイプの当時のもの。

シートは本来のレザーより、よりソフトなものに張り替えられている。

上の写真はフロント右の足回り。すべてのブッシュは新品に交換され、アームやスタビライザーも美しく再塗装されている。

塗装も部分的な補修でなくすべて塗りなおされている。日本国内で同じ作業をすれば300万円以上は確実に請求される内容だ。

フロントバンパーは古くなると左右が落ちてゆがんでしまう場合がある。この固体もそうだったそうで新しいものに交換済み。

走ることをこよなく愛する者には新しいショックやスプリング、それにブッシュを交換してあるこの固体はカートに乗っているような感覚でこれほど楽しい車はない。


レストアは前後の足をすべてばらして行われている。
ショックやブッシュ、アームにいたるまで美しくレストアされている。


ちなみにこちらはレストア前の写真。

77年モデルのこの固体のフロントスペアタイヤセクションはファイバーと同じジップで開けるタイプのものがつく。

エンジンフードストッパーはシングルバーで固定するタイプ。後期になると左右のダンパーショックで支えるタイプに変更される。


エンジンフードにつくアルミ製のルーバーもご覧のような美しいコンディション。
もう一台のGTBは3階の倉庫に保管してあった。

今年の春、イタリアから入庫したばかり。
これから下にあった308のようにレストアして販売予定だという。

ペイントはオリジナル。

右リヤフェンダーには細かいクラックが入り、エンジンフードはうっすらと黄色く変色しているがオリジナルのペイント。

シートは運転席のみのドア側のサポートがひどく痛んでいる。しかし、日本のレストア技術からすれば、このオリジナルのシートを張り替えることなく新車時のようにすることが可能だ。

助手席はほとんど傷んでいない。何といってもすべてが当時のままであることがこの車の最大の魅力。

一部の外装と内装をレストアすれば完璧な1台になる。

ルーフの内ばりの美しさや、

エンジンフード裏に貼られたカーペットの状態も素晴らしい。

こちらはフロントのスペアタイヤセクション。一度も使用されたことのないテンパータイヤが納まっている。

メーターナセルのステッチも傷がほとんどない。

フロントウインドウモールも一度もはずされたことのない美しさだ。

カンパニョーロ製のアルミホィールには当時のFerrari の文字がくっきり残る。もちろんタイミングベルトや他のベルトも交換しなければならないし、ホース類、ブレーキ類も点検が必要だ。しかしこの車はイタリアで有名なリーバという最上級のボートの社長のガレージに今年まであった車なのだ。

走行距離32500kmは実走行に間違いないだろう。クラシックカーの魅力は自分だけの一台になること。
今の246Dinoのように中も外もオリジナルがどうだったかまったくわからないようにレストアされたものとは異なるよさが308にはまだある。
この固体のように当時のままの状態で残っているものをこつこつレストアしていく楽しみは格別なのだ。
完璧にレストアされた赤の308を楽しむか、この歴史ある1台を仕上げていくのか、どちらも甲乙つけがたい。
一度でも調子のいいキャブの308のステアリングを握った者にとってこれほどスポーツカーとしてコントロールする楽しさに溢れているフェラーリはない。
レストア済みの赤のGTBを全開で高速を走れば、誰もが叫びたくなるような衝動にかられるはずだ。
自分だけの1台としてこのオリジナルコンディションのシルバーのGTBにも惹かれてしまう。
美しく仕上がったこの車が見えるからかもしれない。
世界に1台だけの愛車を希望される方は是非ご連絡いただきたい。