美しさの理由

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512BBの納車前の整備とレストアが完了。
今回は購入された方が創業当時からのお客さんで、すべて私にまかせてくれた。
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なかでも私が最もこだわったのがフロントカウル中央のアルミグリルの塗装だった。

まず板金工場にて車体からグリルを取り外し、一枚、一枚をバラバラにして400番の耐水ペーパーで手作業で塗装を落としていく。その後はさらに目の細かい600番、そして仕上げは1000番のペーパーで研いでいく。1本磨く時間はベテランでも、30分はかかる。
下処理の終わったグリルはその後、アルミ専用のアルマイト塗装を行う工場にて、静電塗装という電気を使っての塗装が施される。
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BBのカウルのグリルはさらに特殊で、上のラインだけは鏡のように磨き込まれる。
塗装工場から出来上がってきたものは、当然全体が曇ったままの状態。
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アルミの板の上部だけを丁寧に1枚ずつ、光り輝くまで磨き上げていく。
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写真のように仕上げるにはペーパーで丁寧に磨きこまなければならない。慣れた職人でも1本につき1時間ほどの作業時間を要する。
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こちらはフロントのラジエターグリル。中央のカットされた部分は電動ファンの逃げの部分。もちろんこれも手作業によるカットと思われる。ちなみにフロントグリルはカウルのものとは異なり、表面は鏡面加工はされていない。
これもピニンファリーナのこだわりなのだろう。

こんな膨大な時間と労力がこの車には惜しみなく費やされているのだ。
完成したグリルを組み込んだBBのなんと美しいことか。
この部分が綺麗な車とそうでないものとは驚くほどの違いがでる。

美しさには理由があるのです。

現代のフェラーリとは一線を期す美しさのわけはまさにここにある。
70年代のフェラーリには大勢のマラネロの職人の魂がこもっている。

  by cavallino-cars | 2014-04-15 09:02 | Comments(0)

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