ローマのフミチーノ空港から30分ほどのローマ市内のガレージに74年の308gt4を見に行った。外装はホワイトで中はブルーのモケット。ドアを開けてシートを確認した時点で終了。モケット部分が張り替えてあったからだ。オリジナルは横のラインは型押しのステッチがはいるが、この車は糸で縫ってある。オーナーもこれがオリジナルだと思っていたようで恐縮しておりました。
今回の出張で最後にみるgt4は74yモデルの208gt4。イタリアの高速道のAutostrada のサービスエリアで待ち合わせをした。約束の時間に到着した時にはオーナーは既にgt4で待っていてくれた。

その後ろ姿をみて、マフラーカバーが触媒付きのUS仕様のものがついていたのでがっかり。それだけで見る気持ちが失せました。
ここからはオーナーには申し訳ございませんが、私のNGチェックポイントです。
1.

リヤトランクフードにつくDino208gt4のエンブレムは裏に2本のステーがあり、それをトランクに差し込んで固定される。この車はプラスのネジで固定されている。ありえません。
2.

リヤバンパーのラバー部分がメッキのフレームにきちんと納まるのがノーマル。これはういている。
3.

マフラーは社外品。左の排気口は上を向き、左右のアングルが違います。カバーもUS仕様のものがつく。
4.

本来アクセルペダルには黒の革が巻かれているが、ラバーがついている。
5.

運転席フロアマットはゴム部分にステッチはあるが模造品のノンオリジナル。
6.

208のフロントグリルには左右にフォグライトはつかない。308だけのもの。さらにその中に納まるライトはサイズが大きすぎてフレームから飛び出している。ちなみに純正はキャレロ 製。
7.

フロントフードストッパーのステイがボディの付け根からクラックが入り、折れそうな状態。ステーの脇のクラックが見えますか?
8.

シートのリクライニングレバーの上に付くカバーが欠損。本来は背もたれ側のヒンジ部分の2つの穴で固定されるカバーがつく。
9.

リアフェンダーにつくベルトーネのプラスティック製のデカールはノンオリジナル。
10.

フロントフードとエンジンフードにつくルーバーは208はシルバーが純正。この固体は308のように黒く塗られている。ルバー右前のボンネットのクラックにも注目。
11.

シート左右のレザーのマテリアルはオリジナルでない厚いものが使用されている。オーナーが巨漢のせいか、左右のサポートが変形している。

助手席側のダッシュボードも本来は薄いレザーがはられるが、厚めの生地で貼りかえられている。
12.

ステアリングの下のスポーク部分を覆うレザーには本来縦の切れ目はない。張替えもの。
13.

純正のシートベルトのキャッチはもっと短いものがつく。
これほどまでにオリジナルパーツ以外のものが使用されているgt4も珍しい。
数百年も前の家具や建物が美しいのはオリジナルを維持しているからこそ。

ローマの街なみが楳図かずおさんの自宅のようなペインティングがされてしまったら、台無しです。
gt4はドライビングの気持ちよさと同じくらい、時代をこえた美しさも大きな魅力なのです。私がオリジナルにこだわる理由がそこにあります。