2年前に最初に308GTBを見に訪れた時は自宅に案内されるまでに近くのBARでまず待ち合わせをし、かなり警戒されていたが、今や家族のようにお付き合いいただいている。こんな素敵な家族と知り合えたことを心からうれしく思います。

彼等のライフスタイルを見て思うことは、古いものと暮らす喜びです。自宅にある調度品はどれも骨董品に属するものだ。

この写真のものは800年前に胡桃の木から作られたもので、中には隠し扉があり、大切なものを入れる金庫のようなボックスもある。

ダイニングテーブルの後ろにある木製の箪笥は700年も前のものだ。

コーナーに置かれたものもかなり古いのもの。その上にさりげなく銀の器に飾れた花の何とエレガントなことか。後ろの金のカーテンのタッセル用のノブも美しく、日本ではけっして手に入らない。

ローマのベネツィア広場の荘厳な建物やシーザーの歩いた石畳も生活の一部になっている。イタリア人の古いものに対する愛着と畏敬の念はいわばイタリア人の体に流れる血そのものなのかもしれない。

ローマの街を歩くとたくさんの古いフォンタナ(噴水)を見かける。それが彼等には日常の光景、生活になっているのだ。

Ancona のご自宅のガレージには新しい車は一台もない。先日譲り受けたアルファの後ろにみえる黄色い車はご子息が2年の歳月をかけてレストアしたマセラティギブリ。

その隣にはご主人が自分のハートそのものというFIAT Dino spider 2.4。他にはDino246gt、400i とクラシックバイクが並ぶ。新しい458やF12にはないエレガントさがある。

手作りの古い家具や車たちからは当時の職人たちの息吹を感じる。歴史あるものに囲まれる生活の何と素晴らしいことか。

食後に用意されたグラッパ用の銀製のトレイやグラスも素晴らしい。古く、美しいものに触れながら暮らすことの喜びを一人でも多くの方に車を通じてお伝え出来ればと思います。
日本にも古くて美しいものはたくさん残っている。私たちも自国の骨董を普段の暮らしの中に取り入れる文化を是非見習いたい。ガレージにクラシックがある生活は私の理想のライフスタイルそのものです。
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