Castellanzaから約1時間でのVigevano に到着。目的は76yのDino208gt4。

オーナーはSEX and City で有名なジミーチューの靴も作っているという会社にお勤めのアルファロメオのコレクター。先月、自分のクラシックアルファを売った代金の1部としてこのgt4を受け取ったが、フェラーリには興味がないようで、すぐに手放すことになったのだ。
事前に送って頂いた写真で一番気に入ったのはこのカラーコンビネーションだ。
内装のモケットも独特の雰囲気をかもしだす。この時代ならではの細かい内装のつくりにはモダンフェラーリにはない美しさが溢れている。
gt4の初期モデルはBBと同じ下が黒のツートンだった。腰下が黒く塗られた赤や黄色のgt4はどうもピンとこなかったが、このブルーメタリックの208gt4は実にエレガントに見える。
送られてきた写真よりも実車の方がはるかに美しい。実質3オーナーのこの車の3rdオーナーは1993年から2013年まで20年間所有されている。大切にされてきた1台だ。

ナンバーがミラノではなくパドバ(PD)のものがつくのは名義変更の手続きがまだ終わっていないため。塗装のコンディションも前に見た赤のgt4よりはるかによい。パッと見た印象が驚くほど違う。

フロントフードとエンジンフードにつくアルミのルーバーの綺麗さなどの細かい違いが影響しているのだろう。


フロントウインドウはそれがオリジナルである証となるタイヤ空気圧のステッカーが貼られている。しかも36年も経過してるとは思えない状態でだ。

リヤトランクのカーペットも麻のような生地のオリジナルがつく。ブルーの内装にはこの組み合わせが新車時の標準。カーペットにはシミや汚れもほとんどみられない。

シートのモケットもオリジナルで破れやほつれはない。マフラーはオリジナルのシングルパイプのものがつく。

錆や腐蝕のないこのマフラーは208独特の乾いたサウンドを奏でる。

新しいエアフィルターに交換するのとウオーターホースの交換作業のためにフィルターボックスは外してあったが試乗するには問題ないので街へ飛び出した。
まず感じたのはアクセルに連動して軽やかに、そして力強く回るエンジンだ。モケットとベージュのレザーに囲まれたシートに黒の適度の厚みのあるダッシュボードのコックピットに包まれているだけでも気分は高揚するのに、あの246のようなフェラーリサウンドが加わるのだからたまらない。

試乗を終えて近くのカフェで振込先をお聞きして譲っていただくことにした。

それにしてもこのカラーリングの何と美ししことだろう。黒く塗られた中央部分の上に細く入る黒のラインもベルトーネのシャープなデザインをより美しくみせている。クラシックの魅力の一つは自分だけの1台になることだろう。

ブルーメタリックのカラーリングとモケットとレザーのインテリアの美しいこのgt4は間違いなく自分だけの1台になるはずだ。