

午後3時に約束のガレージに着くとメカニックは既に車を準備してくれていた。


今年の5月にタイミングベルト交換を含めたビッグメンテナンスを行ったこのGTBはマントバのものと比べ、明らかにエンジンルームがきれいなのがわかる。

フロントタイヤの内側のゴムのブレーキホースも古いものは硬化して石のようにカチカチだが、指でつまむとゴムの柔らかい感覚がある。交換してある証だ。
オーナーも5分ほど遅れてご夫婦でみえられた。子供が生まれ、ご主人は持ち続けたかったのだが、若い奥様に2人乗りの車は自分がおいていかれるのが嫌で売って欲しいと懇願されたからだという。
このGTBは1980年の5月にスイスで登録されて、その後1983年にイタリアに持ち込まれ登録された。イタリアでは2オーナー。最初のスイスのオーナーを入れると3オーナーカーの車だ。2ndオーナーはGenova の商工会議所の会長で、今のオーナーのドメニコ氏が昔から良く知っている方とのこと。履歴も間違いない。

マフラーはオリジナルのシングルパイプのものがつく。

左右のドアポケットは新車時につけられていた蹴り込みによる傷がつかないようにつけられたビニールカバーが今もつく。

ドアの下の部分にも錆による腐蝕などはみられない。雨が少なく、湿度の低いイタリアだからこそのコンディションなのだろう。

フロントウインドウは新車時のオリジナル。空気圧を表示したステッカーがつく貴重なもの。
フロントスポイラーはショートタイプのものがつく。個人的にはビッグスポイラーのものよりも好きだ。
ホィールはCROMODORA製の14インチ7.5J のワイドのものがつく。こちらも今では手に入らないオリジナル。

フロントのアルミ製のグリルは口から飛び出しているものや曲がったものも多いがこの固体はきれいに納まっており、ゆがみもない。

ぶつかったりしたものは大きく歪んでいたり、真横からみると写真のように飛び出していたり、へこんでいたりするものがあるので注意が必要だ。上の写真の車はスポイラー部分が左にずれている。

シートのコンディションもよく、マントバのものと比べてもコンディションはいい。

ミラーも打刻のあるオリジナルで、しかも当時のCalifornia のオリジナルステッカーもこのようなコンディションでついている。リプロダクションのシールにくらべ、若干大きく、色が黄色いこの写真のものがオリジナル。
実際に乗ってみるとステアリングのがたもなく、アクセルの微妙な開け具合にもリニアに反応するキャブレターならではのエンジンは剃刀のように鋭い加速をする。
走行わずか15000kmのこのGTBが日本に来るのは今年の9月の予定だ。