次に向かったのはボローニャの郊外のイモラ。


セナが事故で亡くなったF1のイモラサーキットが有名な街。

目的は黒のFiat Dino spider だ。オーナーはサーキットから10分ほどの所に住まわれている。

何と40年もの間、この車を所有されている。
予報では雨だったにもかかわらず、天候は素晴らしく、汗ばむほどだ。
オープンにしたままの状態でガレージから出してもらった。
黒のペイントはオリジナルで内装はメーカーで赤のレザーに張り替えてもらったとのこと。
マテックスに持ち込めば、新車のような美しさを取り戻すに違いないボディには錆びや塗装のうきはまったく見られない。

トランクを開けるとオリジナルのトノカバーがあった。絨毯の下にひかれるスペアタイヤとの間の板も腐りのない非常によい状態を保つ。

工具もカバーつきのものが揃っていた。
2オーナーのこのスパイダーは足回りも特別でスタビライザーを備える。

センターコンソールのホーンスイッチはこの状態ではシティモードの普通のクラクションだが、下に押すとフェラーリと同じエアーホーンに変わる。ラジオも当時のものが付き、独特の雰囲気をかもしだす。

ステアリングももちろんオリジナルだ。

センターロックのメッキのスピンナーもご覧のような美しさを保つ。オリジナルはセンターがErfurt の車のように黒だが、当時のフィアットオーナーはフェラーリに憧れ、すべてシルバーにメッキしなおしたという興味深い話をオーナーからお聞きした。

すべてのホィールにはくっきりとCROMODORAとFIAT の文字が残っている。
さらに嬉しいことにはピニンファリーナのデザインしたハードトップもついてくる。

写真は色違いの車だが、リヤウインドウの前に入る、シルバーのラインと黒のコントラストは実に美しく、ルーフ内側の内装はgt4にも似た細かいステッチの入る手のこんだ仕上げがされている。

帰国後、土曜日に正式に譲っていただけることとなった。
月内には船積みのため、英国からトラックがこの美しいカブリオレを引き取りに行く予定。

イタリアを44年間走り続けてきたこの美しい車が今年の夏には日本にやってくる。