Fiat Dino spider

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ここのところの246Dino の価格の高騰は驚くばかりだ。1ユーロが100円だった昨年にくらべ、現在は129円と円安の影響もあり、Dino はイタリアでも1750万円から2500万円もする。

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そのDino と同じエンジンを積んだFiat Dino spider はどんな車なのか、特に2.4L のものはマラネロのフェラーリ工場で作られていたのでそのインプレッションは非常に興味あるものだ。

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日本では試乗できるものもないばかりか、現車をみることさえできない。
ネットを検索してもテクニカルデータがでているだけで実際のロードインプレッションの記事はまったくない。
どうしても気になって先週の金曜に日本を発ち、週末を利用してイタリアに試乗に行ってきた。

Fiat Dino spider は1965年トリノショーでデビュー。アルミ製シリンダーヘッドをもつ1987cc のエンジンの出力は160ps。車重は1150kg。1969年からはエンジンはアルミ製から鉄に変更。エンジンも2418cc、180馬力の246と同じエンジンが搭載される。生産拠点もフィアット社からマラネロのフェラーリ工場で作られるようになった。車重は1270kgと2Lのスパイダーに比べ120kg重くなる。

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2.4L のものと2.0L の比較ではデータ的には120kg重くなり、20psのパワーアップ。
さほど違わなさそうではあるが、昨年アンコナのオーナーからお聞きした話では乗ると全然違うので買うなら2.4L にした方がいいというアドバイスをいただいた。
さてその真偽はいかがなものかを確かめたくてはるばるイタリアまでやってきたのだ。

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それにしてもこのウッドのステアリングにウッドパネルの組み合わせは当時の車ならではのもの。英国のロータスやジャガーにもつうじるクラシックならではの趣きに溢れている。同年代の308とはまた異なる良さがある。

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三角窓のストッパーはDaytona や 246 などのフェラーリで使用されているものよりクオリティがよさそうだ。

結論は2.4L のものがはるかにトルクフルで運転していて楽しいものであった。
パワー差はもちろんだが、独立懸架のストラットとコイルのサスペンションに変更になった2.4Lの足回りはコーナリング中ににアクセルを少しだけ戻すとノーズがインにクッと入る感じがフェラーリ308に実に似た挙動をしめす。そのトルク感は本家246gtを上回るほどで、アクセルの微妙な踏み加減でスパイダーボディは蹴飛ばされたような加速をするのだ。

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シフトパターンも2.4L は308と同じフェラーリパターになっているのもオーナーにとって嬉しくないわけがない。写真は2.4L のもの。Ferrari と同じシフトパターンが彫り込まれたノブ、ご覧いただけますか?
ちなみに2Lのものは左上が1速のシフトパターンとなる。

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かといって2Lのものが魅力がないかというとそうではない。
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ピニンファリーナが描いた美しいボディは2.4L のものと変わらず、ホイールのスピンナー型のセンターロックは2.4L のものより美しい。
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2.4L のものは初期型の308gt4に装着されたホィールキャップと同じものがつく。違いはセンターにDinoのエンブレムの代わりにFIAT と書かれたものがつくだけだ。

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他の違いはサイドウインカーが2.4Lのものは写真のようにエンブレムの端につくのに対し、
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2.0のものはエンブレムもことなり、
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フロントフェンダーのタイヤハウスとフロントマーカーの間に装着される。
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グリルも2.4Lは2本の左右を結ぶラインが入るのに対し、
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2.0Lのものはフェラーリのような格子のアルミ製グリルがつく。

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バックパネルのエンブレムもそれぞれ異なる。
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今回モデナで試乗したものはメーカーオプションのパワーウインドゥが装備されていた。
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時計の左右につくスイッチが操作スイッチだ。この固体はClub Italia のメンバーの所有する車で、
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マニュアル類も揃い、イタリアクラシック協会認定のASI のゴールドプレート付。

一方2.0L のものは個人のコレクターの所有でこちらもASIのゴールドプレートを取得している。
現地価格は125,000EUR と 69,000EUR。日本円で換算すると1600万円と890万円。
輸入するとそれぞれ2000万と1200万ほどになる。

246とは比べられないフルオープンの楽しさは格別だ。なんといっても運転するとまるでフェラーリのバルケッタを操縦しているようなのだ。ビニール製のシートやプラスティック製の安っぽいインテリアもまったく気にならないほどの楽しさがある。

アルファのスパイダーのゆるいステアリングもあれはあれで魅力だが、スポーツカーという視点からみればこのスパイダーはまさにレーシングカーに近い感覚だ。

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美しいボディとクイックなステアリング、それにDinoエンジンの素晴らしいエッセンスが加わるこのバルケッタがヨーロッパで多くのフェラリスタに愛される理由が運転して初めてよくわかった。

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日本国内でこれほど珍しい車はないにちがいない。
イベントでは稀に2Lのものが参加しているが、2.4L のものは国内では見たことがない。
間違いなく自分だけの1台になるはず。
1965年にデビューしたこの車は国内で開催されるほとんどのクラシックイベントにも参加できるのも魅力のひとつだ。

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フェラーリDino のエンジンを積んだ美しいこのバルケッタをいつか東京の街でおもいっきり走らせてみたい。
帰国してまだ1日しかたっていないが、本気で欲しくなっている。

  by cavallino-cars | 2013-04-24 13:43 | Comments(0)

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