今回はZurich は初めて。空港は美しく、整然としている。スイスに車を見に行くのは2回目。一度目は走行2000キロの赤に内装がクリームの新車のような328GTB を購入した。
Zurich国際空港に到着したのは5日午後の8時。外はあいにくの雪。
それでも外気温はロンドンよりも暖かく感じる。
オーナーとは2週間前に6日のお昼にホテルのロビーで会う約束をしただけでそれから連絡はとりあっていない。前日に無事到着したとのメールをしたが、連絡がなく、少々不安になりながらも約束の場所で30分ほど前から待つ。朝方は雪もやみ、青空がみえていたが、約束のお昼頃からまた雪が降り始めた。

12時半に無事お会いすることが出来、雪の降るなか自宅へ目的の308Vetroresinaを見に向かう。

20年ほど前に彼の父が知り合いから購入した2オーナーカー。購入時は走行7000km。
2年前に、両親がマイアミに移住したため、ご子息が管理している。

ファーストオーナーは隣町の方でスイスの正規ディーラーから購入したもの。
ガレージに入り、ぱっと回りをみせてもらっただけでFirenze でみたgt4と同じ独特なオーラを感じた。美しいライン、エクボや傷のなさ、何よりも大切にされていることがよくわかる。

走行32000kmを証明するスイスの整備記録も揃う。

外装はもちろん、内装も年式相応のやれはあるが、熱い直射日光に長時間さらされたあとにできるレザーの乾きや、酸性雨によるモール類の変色などが一切ない。素晴らしいコンディションだ。
エンジンも始動性はすばらしく、きちんと整備されていることがすぐにわかる。


驚いたことにはキャブレターのジェットには新車時についていたプラスティックのキャップがついたままだった。以前にも1度だけこのキャップがついた車 があった。英国で譲り受けたGTSだ。

トリップメーターのリセットのノズルはたいていの車はかたく、ギヤのかみが悪くてなかなか0になりずらいのだが、このファイバーは今工場からでてきたように軽く、スムーズに作動する。ちなみに一昨日みたPaviaの308GTBはトリップメーターは動くものの、リセットはノズルが硬く、回らずにできなかった。
塗装は一度もしたことがない、オリジナルだとのこと。ファイバーによくみられるクラックなどはどこにも見あたらない。

テールライトのラバーガスケットはつけたり外したりするとぼろぼろになってしまい、ラバーシールを流し込んで防水しているものがほとんどだが、この車は交換したかのように美しいままだ。

ちなみにレンズとボディの間のガスケットは欠品パーツで、入手は困難。

リアのバックパネルとフェンダーはカーボンの付着で若干きばんではいるが、クリーニングできれいになるにちがいない。バックパネルに関しては輸入後、ナンバーの穴埋めのために再塗装するので特には問題ない。

幸運にもこの車のオーナーになれる方は歴史を引き継ぐ義務がある。
これほどまでのオリジナル度の高いファイバーがマーケットにでる可能性は今後ますます少なくなるに違いない。

帰りの飛行機の中から沈む夕日をみながら、エンツオの遺産ともいえる素晴らしい2台の308を譲っていただいたことを嬉しく思う。2013年のスタートに相応しい2台だ。