1998年にミラノからやってきたこの246のオリジナルカラーはライトブルーメタリックだった。
内装はシートにドアパネル、バックパネルともすべてビニール製のオリジナルだった。

以前個人的に所有していたルーフの外れる246gtsのエンジンも調子良かったが、それをしのぐほどエンジン、ミッションも快調そのもの。その年に行われたラフェスタミレミリアに出場。何の問題もなく1600kmを完走した。
この車は自分で生涯もとうと考え、レストアにかかることにした。

マフラーは当時はまだ新品のANSAが手に入ったので交換し、内装も革に張り替える。左右のマフラーの中央に見えるバックライトも新品だ。

ダッシュボードはあえてオリジナルではなく、質感のよいピッグスキンに張り替えた。シートは個人的に座面が低い方が好みのためスポンジは少なめにしてある。

センターの丸い穴はオリジナルのものを使用。

ルーフと左右のピラーのみはオリジナルだ。
フロアマットも作り直したが、足をおくビニール部分はオリジナルをカットして再使用している。

一番こだわったのが塗装だ。オリジナルより少しだけ濃い赤にした。サイドステップ下は本来は黒なのだが、肌もボディと同じつるっとしたものにし、ボディと同色に塗った。塗装だけで400万円くらいはした記憶がある。

フロントウインドウは新品に交換、ウインドウのゴムももちろん新しいものに交換した。

その他、テールレンズやレンズのクロームメッキリム、ドア周りのゴムなどすべて手に入る新品パーツをとりよせ交換した。
バンパーはすべて再メッキしなおした。リヤバンパー内側にあるナンバー灯の入った部分のメッキはなかなか引き受けてくれる工場がなく苦労した思い出がある。
塗装は1度塗ったが希望の色がでず、再度やり直している。
12年以上経った今でもその美しさは色あせていない。


シートベルトはKLIPPAN社製のオリジナルがつく。

今のようなカチッとはまるキャッチではなく、飛行機のベルトと同じタイプのものが当時の純正だ。
ほとんどのDinoはワンタッチのものに代えられている。オリジナルを交換しなければならないほど荒れていたのだろうか?それを考えると交換している246を買うのはかなり勇気がいる決断だ。

当時はドアを開けた時につく赤いライトや、

フェンダーについた黄色のウインカーライトも新品が手に入ったので新しくした。

ドアミラーもオリジナルがつく

10月の第2週にホィールのレストアが終了した時点で10年ぶりに弊社に帰ってきた。

ギヤの入りにくいものやボートのハンドルを操作しているようなふわふわしたハンドリングのものが多いなか、この車はそれらの246とは一線をきす。

軽いボディ、クイックなステアリング、間髪をいれぬアクセルレスポンス、そして美しいボディ。
これこそがDinoと呼ぶにふさわしい1台だ。
高速を走るドライバーの耳に飛び込んでくるV6サウンドの何と美しい音か。
このDinoの鍵は乗れば乗るほど手渡したくなくなってしまう。