italia 車に魅せられて

コックピットに座ると目の前にはスピードメーターとタコメーターが筒状のケースの中に納まり、油音、水温などのメーターはドライバーシートに向かい斜めの設置される。そのどれもがクロームメッキで縁取られていて実に美しかった。
ベルトが切れたり、路上で止まったことは数知れず。
それでも手放さなかったのは、独特なアルファサウンドやデザインの魅力など感性に訴えるものが大きかったからだろう。
幌が破れた時は当時の輸入代理店伊藤忠オートで60万円といわれ、両親のヨーロッパ旅行に便乗させてもらい、ミラノのディーラーで幌を買って帰ってきたりもした。確か20万円もしなかった記憶がある。
私のヨーロッパ旅行の目的はアルファの幌がメイン。今考えるともったいない限りだ。

あれから30年。ヨーロッパモデルという違いはあるが、同じ車に魅せられている。
フェラーリはアルファのフロアマットがゴム製だったのに対し、ウールの立派なものがつく。
ダッシュボードやシートもビニール製からレザーになり、メーター回りもより洗練され、最高峰のスポーツカーを感じさせる。ロールスほど華美ではなく、その感触ひとつ、ひとつに当時は感動していた。
時を超えた美しさが308にはある。

355や348のようにドアレバーやエアコンの噴出し口が溶けてどろどろになることもない変わることのない美しさ。
今の458や599の液晶のメーターパネルは30年もすると液晶数字がかけてしまう心配はないのだろうか。
たとえ今のままの状態を保っていても30年後に308のもクラシックな美しさを放つとは思えない。
今の車はどれも使い捨てのパソコンのようだというコメントをいただいたが、同感だ。
速さや馬力だけが優先され、メーカーのアイデンテティーは年ごとに消えていってしまっている。

by cavallino-cars | 2012-06-08 17:05 | Comments(1)

ありえない部分が壊れたり(キーシリンダー粉砕・アクセルワイヤー切断などなど)しましたが、それでもなお直して乗っていたのは美しさや孤独になりたかったときの特等席だったかもしれません。
惜しむらくは自分の車が走っている姿を自分で見れなかったことでしょうか・・・