翌日午後待っていた連絡があった。
問題はフュエルポンプではなくセキュリティー用にあとでつけたユニットだった。これが誤作動してガソリンをとめてしまったとのこと。午後の4時半に自宅に伺う。
そして自宅から車で20分ほどのAutofficina Bonini Carlo s.r.l というFerrari の正規ディーラーの工場に向かった。

ガレージに入ると先週Villa d'Este で開催されたコンクールデレガンスから戻ってきたばかりの250が入庫していた。


ここまでくるともう美術品の粋に達している。

見ている者を圧倒するオーラがある。隣にあるのは250LM のボディ。しばらくは本来の目的を忘れ、この美しい車たちに見とれてしまった。LMの隣には288GTOがとまる。


せっかくファクトリーにあるのでリフトアップしてもらい下から車をのぞいてみる。

オイルパンにもオイルの漏れたあともない。きちんとメンテナンスされているのだろう。

ブレーキホースも特に漏れたあともなく、足回りも問題ない。

フューエルホースも交換した形跡があるので安心した。

工場からだしてReggio Emillia の街を試乗することに。
メカニックと交代して、ドライバーシートに座る。
左右に並木のある道を数分ドライブしたところで隣に座るオーナーにPrendo Questa! (買います)と言っていた。308に比べ、75馬力ものパワー差は感じられない。308とはギヤ比が違うため3Lのものと比べても3速4速では小気味よい加速をするのだ。

5速のファイナルを使用することはできなかったが、首都高や箱根などでは十分に楽しめるだろう。しかもあのキーンというフェラーリサウンドは308に比べ、若干静かだが、ドライバーシートまで聞こえてくる。出来ることならこのままずっと走っていたい衝動を抑えながらディーラーに戻った。

こんな状態の車が存在するのは湿度の少ないイタリヤの気候と美しいものを愛するイタリヤ人気質ゆえだろう。

さらにこのgt4には75年のオリジナルであることを証明するASI のゴールドプレートがつく。

ASI とはイタリヤクラシックカー協会のことでそこで正式にオリジナルという認定をうけているということ。
フェラーリ本社で認定されるフェラーリクラシケとまではいかないが、ゴールドプレートはあのフィオラバンティ氏の308も取得しており、イタリアではかなり信用できる協会のお墨付きを取得しているということなのだ。


ミラノに帰る間際に12気筒の素晴らしいエキゾーストノートの見送りを受けた。
イタリヤでこれほど高価な車を一度に見たのはマラネロのファクトリー以来だ。
今回も素晴らしい出会いがあった。
GTBturbo とDino208gt4 この2台は7月には東京に到着することだろう。

特にこの宝石のような208gt4を日本に持ち帰れたことがなりより嬉しい。