only one
マラネロから車で約1時間15分ほどの小さな街に住む個人が所有するグラスファイバーの308は素晴らしいものだった。

オーナーはヒストリックラリーでは数々のトロフィーを獲得するほどのエンスージアスト。


現代の車は普段の足としてお使いになっているトヨタのSUV。

このファイバーグラスは10年間所有していたという。それだけに手放す決心がつかなかったのかもしれない。
お年は65歳くらいだろうか。しかし、ひとたびステアリングを握ると動きは軽やかでさすがにラリーで現役で活躍されているだけのことはある。こんな中年?になりたいものです。
色はシルバーよりも濃い、ガンメタリック。
初めて見る色だが、見れば見るほど好きになっていく。

シートだけは痛みがひどかったため、購入後に張り替えたとのこと。
ヘッドレストやドアの内張り、ダッシュボード、センターコンソールはすべてオリジナルだ。
購入時のシートを張り替える前の写真も見せてくれた。

フロントウインドウには新車時に貼られたタイヤプレッシャーがしるされたステッカーも残っている。
3月の出張でブログでも紹介させていただいたもう一台のものとは雲泥の差だ。
この状態からもこの車の保存状態のよさがうかがわれる。

ラジオは当時のオリジナル。西ドイツのBecker 社製のものがつく。
なんとも雰囲気があります。

マフラーはシングルタイプのオリジナルがつく。ファイバーだけにつくバンパーに埋め込まれたリバースライトももちろんついている。


トリップメーターの数字はファイバーグラスだけのタイプライターのような細い文字。
これがオリジナルだ。
もちろんきちんと作動します。
すべててのメーターの数字は初期型のダブルレターのもの。初期型はやはりコストがかかっているのがこんなところからもうかがえる。

赤も美しいがこの色 はシックでエレガントだ。
写真はすべてオーナーのご自宅の敷地内で撮影したもの。
地下ガレージには6台分のスペースがあり、1Fには広い庭と2台分の屋根つきのガレージがある。
出張のたびに思うのはクラシックカーの愛好家は今のモダンフェラーリにはまったく興味がないこと。
素晴らしく速く、美しいが、かつての繊細な美しさは失われ、運転して叫びたくなるような衝動にかられないという。美術館のような国に住む彼らの美的な感覚からはモダンフェラーリはどう見えるのだろうか。
今のフェラーリもこの頃の車のように30年後も美しい輝きを放ち続けるのだろうか。
7月には東京に上陸予定。
36年過ごしたイタリヤを離れ、日本の大地を走る308がまた1台やってくる。
by cavallino-cars | 2012-04-18 11:28 | Comments(0)