Ferrari Four
トラックから降ろされたところだった。
612の後継車としてより安全でしかも美しい車ということがFFの基本コンセプトとのこと。
フロントフードを低く保ったまま前輪を駆動させるため、
本来エンジンの真下につけるドライブトレインをエンジンの前部にとりつけたこと。
その重さも極力軽量化し、優れたハンドリング特性をもたせたこと。
1速から4速までは安全重視のため4駆にし、5速から7速はスポーツ性を高めるためFRになる。
フェラーリらしさを感じる。
まず599のアクセルを踏み、リヤホイールが激しくホィールスピンするのを体験。
599と4輪駆動のFFの差は歴然でそのグリップのよさはすぐにわかる。
これがサーキットのスキッドパッドなら申し分ないのだろうが、それは無理というもの。
その後、高速へ。
コンフォートにすれば乗用車なみのしなやかさになる。
30分ほどの試乗を終えて感じたのはクラッチの素晴らしさだ。
まるでATのようにスムーズなつながりには技術の進歩を感じる。
残念ながら4輪駆動のよさはあまり感じられなかったが、雨天ではその違いは歴然だろう。
今年の5月にマラネロに行った時フィオラノの1コーナーをドリフトしながら走行テストを繰り返していたFFを見て、乗ったら楽しいだろうなという期待はそのとうりだった。
運転しているとリヤに大容量のトランクスペースやプラス2のシートがあることを忘れてしまうほどその操縦性は素晴らしい。ルーフも599より余裕があり圧迫感はほとんどない。
しかしスポーツカーとしての楽しさは断然、599にある。
同じ12気筒でもあの飛んでいってしまうのではないかと思えるほどどこまでも伸びていく加速感は
残念ながらFFにはない。
車の重さを感じてしまう。
しかし599と比べること自体ナンセンスなのだ。
この車はフェラーリで初めてM.BENZのSクラスと同等のトランク容量をもち、
安全性を兼ね備えたスーパーサルーンであり、ピュアスポーツの599とは素性が違う。
そういう意味でもバックカメラは標準装備でオプションでフロントにもカメラがつく。
車高調整装置により4cmも車高が上がる。
誰が乗ってもより安全で、しかもスポーツ性を持たせるというコンセプトはフェラーリにとっては
初の試みなのだ。
ポルシェパナメーラやアストンラピードなどの好敵手になるのは間違いないが、
フェラーリが誰が乗っても危険な挙動をしない安全性や居住性を重視する時代になってしまったことに時の流れを感じる。
私はまだ乗り手を選ぶF40のような危ない車に魅了されてしまう。
by cavallino-cars | 2011-09-14 17:55 | Comments(0)