458 italia

十分に暖気をすませ、首都高速にのり、アクセルを床いっぱいまで踏む。
ポジションはオートマティックモード。
タコメーターなど見ている余裕などドライバーには与えてくれないほどの加速だからだ。
1速、2速、3速とシフトアップしていく間中、ドライバーは強烈なGを感じながら、
620馬力のエンジンパワーによりフロントノーズがアクセルを戻さない限りずっとリフトしているのがわかる。
決してアクセルを踏む足の力は緩めない。
そうしないとこの車の価値はわからないからだ。
フロントエンジンの599はノーズが重いせいか、ダンパーが硬いのか、
フル加速時のノーズリフトは458ほどはしない。
458のサスペンションが柔らかいのには驚くが、そのソフトさはヘアピンなどの低速コーナーでは
ハードブレーキングでノーズダイブをしたままクリップをクリアすることができるので
大きなアドバンテージになる。
筑波の1ヘアピンや首都高速の目黒線などでは恐ろしいスピードで走れるはず。
3速全開からヘアピンに入る前にフルブレーキングをするが加速があまりに速いため
カーボンブレーキでさえ効きが普通のブレーキに思えてしまうほど。
ダウンシフトはオートマティックモードでも完璧なタイミングで行なわれ、
あたかもシューマッハが無線でコントロールしているのかと思われるほどだ。
アクセル開度とブレーキングによりその速度とタイミングは変化する。
2000回転ほどでシフトアップやダウンシフトする時のスピードとは全く異なり、
同じ車とは思えないほどレーシーになるのには驚きを禁じえない。
458にカーボンブレーキが標準なのは全開からの急制動をかければすぐに納得できるはずだ。

スピンモードにはいらないまでも強いアンダーステアがでるはずだ。
高速道路でコーナリング中に早めにアクセルをあければ、
ドライバーは高速外側の壁にぶつかることを覚悟した方がいいだろう。
ただしその限界は想像以上に高く、普通のドライバーはそこまで速いスピードで
コーナーに進入することはない。

レース経験もなく、サーキットも走ったことのない人はアクセルを床まで踏みっぱなしで
3速までいれることさえ躊躇するはずだ。
それほどその加速はすさまじく、一般車のレベルを遥かにしのぐ。
そんな未体験ゾーンに自分のアクセルを踏む力だけで簡単に入っていける。
スポーツカーは速く、美しくなければいけないという定義は458や599は満たしている。
しかし今のフェラーリはコントロールする楽しさ、速く走らせる楽しさは
かなりの運転技術がないと難しい。
個人的にはもう少しパワステを改良して、ハンドルに
フロントタイヤのグリップ感を伝えて欲しい。
3200万円の価値は美しい外観の中に隠されたV8 エンジンの加速とコーナリング、
そしてブレーキングにある。
by cavallino-cars | 2011-04-28 17:22 | Comments(0)